… … …(記事全文13,121文字)タッカー・カールソン氏は、米FOXニュースの中でも視聴率を稼ぐ保守派の政治コメンテーターでしたが、度重なる過激な発言から(主にドミニオン社製の投票機械について)番組の広告主を失い、去年の4月にFOXニュースを解雇(または辞職した)されました。その後、カールソン氏は独自の番組を立ち上げ、ツイッターで番組の再開を発表しました。
そのような経歴でフリーのジャーナリストになったカールソン氏ですが、2024年2月にロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領へのインタビューを実現させました。これは2022年2月24日にロシアがウクライナを軍事侵攻して以来、プーチン大統領が初めて西側のジャーナリストのインタビューに相対して応じた事例となります。このインタビュー動画は、現在カールソン氏のサイトで無料公開されています。
世界的な注目を集めたインタビューでしたが、プーチン大統領はカールソン氏から鋭い質問がなかったことに驚いたと後日感想を述べています。GRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)出身のプーチン氏にとって、カールソン氏が受け身のインタビューを行ったことに物足りなさを感じたのかもしれません。インタビュー対象者であるプーチン大統領に主導権を握られ、カールソン氏が「意味ある質問」を繰り返しても、煙に巻かれていました。
ここでは、2024年2月6日に元FOXニュースのアンカーであったタッカー・カールソン氏がウラジーミル・プーチン大統領へ行ったインタビュー内容を基に、独自の見解を解説していきたいと思います。今回の記事のほとんどの部分は、インタビューの最初の25分の内容を、私が日本語訳で文字起こしした内容になります。たぶん二時間のインタビューの中で、最初の25分を占める歴史見解が一番重要な部分だと思います。すでにネットに出回っている日本語訳の動画を見た方も多いかと思いますが、ご了承ください。
タッカー・カールソン氏によるプーチン大統領インタビュー動画● イントロダクション(0:00~1:17)
● プーチンによるロシアとウクライナの歴史見解(1:18~26:55)
未来への羅針盤
吉野愛(文筆家、国際政治研究者)