… … …(記事全文4,771文字)こんにちは、吉野愛です。
ケビン・コスナー主演のSFアドベンチャー映画『ウォーターワールド(1995)』は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクションの一つとしても採用されているので、90年代の映画ですが観たことがある人も多いかと思います。
映画のあらすじは、「未来の地球は、地球温暖化によって両極の氷をすべて溶かし、地表を消し去ってしまったため、残った人類は浮遊都市を建造して暮らしていた」という内容ですが、その世界のどこかにあると噂される伝説の陸地「ドライランド」を求めて熾烈なサバイバル戦が繰り広げられます。
よく、映画『マッド・マックス』の海上版と比較される『ウォーターワールド』ですが、この映画の本質は追跡劇の部分ではなく、また地球温暖化の話でもありません。
映画は、水の惑星と化した世界のどこかにあると噂される「ドライランド(陸地)」を求める話ですが、このドライランドとは陸地、つまり「慣習法」を意味します。しかし慣習法という陸地に存在する法律が、人々にとってそれは「噂」でしかないのは、人間を船舶としているため、人間の活動はすべて公海上の活動と見なされ、陸地に住んでいようともすべて海事法に従っているからです。
目次
● 揆(みち)をひとつにする
● 一揆がうまくいかなかったケース
● 一揆が罠であったケース
未来への羅針盤
吉野愛(文筆家、国際政治研究者)