… … …(記事全文4,236文字)こんにちは、吉野愛です。
ハロウィーンも無事終わり、11月に入りました。
中東では懸念されていたイスラエル軍によるガザ地区への地上侵攻が、先週から限定的に行われています。アラブ諸国はイスラエル軍のガザ地区侵攻に対して軍事介入することはできませんので、ハマスとイスラエル軍の戦闘が外部に拡大しないように、レバノンとイスラエルの国境地帯で牽制しています。
外国からガザ地区に兵士を送る場合、ウクライナ紛争のように国旗を外して傭兵扱いになることでしょう。イスラエルのネタニヤフ首相は「長く厳しい戦争になる」と表明していますので、ガザ侵攻は長期戦を計画しているのではないかと思います。11月1日にエジプトが検問所を限定的に解放し、外国人450人と二重国籍のパレスチナ人約90人が出国しました。
過去のメルマガに何度も書いていますが、国際紛争は出来ない時代です。今回のハマスによる急襲から現在に至るまでの戦闘は、イスラエルの「内戦」扱いになっているはずです。これはパレスチナ問題の現状を理解する前に、領地の形成を知る必要があると思います。すると西側諸国の言うイスラエルの「自衛権」云々も、残念ながら理屈的には正当性があるかと思います。つまりたとえ手段が非道であっても、ルールには最低限従っているというのが彼らの言い分であるということです。
しかし「ハマスの殲滅」を名目に、難民キャンプを空爆するような「民族浄化」を正当化するのは、命令する側の人間性を疑いたくなりますし、また現状がエスカレーションする危険性をアラブ諸国だけでなく国際世論も警告しています。もちろん民族浄化は、世界各地で起きている「難民の大移動」にも直結する理由であろうと推測しますが、この場で理由を書くのは控えさせていただきます。言えるのは、アラブ諸国もガザ地区からの難民を受け入れたくないというのが本音であるかと思います。ですから彼らはイスラエルを非難するも、中立の立場をできる限り守ろうとしているのではないでしょうか。
目次
● 文字と伝達媒体
● メディアは軍産複合体の一部
未来への羅針盤
吉野愛(文筆家、国際政治研究者)