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世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

総理就任会見で『新自由主義からの転換』を言わなかった岸田文雄

4日夜、首相に就任した岸田文雄が最初の会見で、キャッチフレーズである「新しい資本主義」を連発していた。この言葉は、岸田文雄が総裁選に立候補表明して政策を打ち出した9月8日にも発されていて、標語として大きく掲げられていた。ただ、少し少し変化した点に気づく。1か月前は「新しい日本型資本主義」と言い、日本が新自由主義化する以前の宏池会・経世会時代のマイルドなシステムを連想させる表現を選んでいた。今回、「日本型」の語が削除されてしまい、「新しい資本主義」のイメージに不安が宿る効果となっている。 もう一点は、1か月前にはあれほど大上段に強調していたところの「新自由主義政策からの転換」キーメッセージが、就任会見では一言も発せられなかった点である。「新自由主義からの転換」は宣言されなかった。政策姿勢としてコミットされなかった。多くの国民はそれを期待していたに違いないが、新自由主義批判の言辞は表明されなかった。封印もしくは撤回となった。1か月の間に変わったのだ。安倍晋三と麻生太郎から「やめとけ」と指示されて従ったか、最初からフェイクのポーズだったかのどちらかである。 総裁選の政策発表は、全国の党員党友に向けてのアピールであり、彼らから票をもらうことが目的である。特に、石破茂への支持が根強い地方の党員党友を切り崩す狙いを持っていて、だから、過去の宏池会・保守本流のマイルドな表象を訴求したのだろう。自民党員であっても、地方の農業者や商店主は新自由主義に辟易としている。小泉竹中の「改革」路線とアベノミクスに倦み疲れている。それは地方経済を疲弊させ衰退させただけだけで、何も恩恵をもたさなかった。新自由主義からの離脱と転換は、保守層であっても広く揺るぎない要求なのだ。 なので、それを公約にして支持を集めた。が、立場変わって総理会見となると、それを言明したら本当にその指針で政策実行しなければいけなくなる。アベノミクスの三本目の矢の「成長戦略」として遂行された数々の政策を清算する必要に迫られる。アベノミクスの「成長戦略」は、屡々説明の中で「構造改革」とも等値されていて、資本を成長・増殖させるための経済政策の羅列と実行だった。主導し推進したのは安倍晋三と麻生太郎であり、法律と制度と予算にしたのは今井尚哉である。
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