長々と続いた自民党総裁選は間もなく終わる。途中から、先週(9/13-)頃から、すっかり退屈になって討論会等のテレビ放送は見なかった。お気づきのように、森友問題とかクリティカルな論点は全て避ける進行になり、候補者間での政策主張の相違点は特になくなっている。見どころが失せた。出来レースとヤラセ芝居の本質と実態が浮き彫りになっていて、保守派以外の視聴者は興味を持てないコンテンツになって久しい。政策の論点は次第に潰され、平坦にされ、論議は自民党として一つの方向性に収斂されて行っている。 討論会やその報道は、自民党の来たるべき衆院選のマニフェストの広報宣伝になっていて、その目的が露わとなり、国民への刷り込みの時間になっている。また、全国の市議や県議に向けての、或いはこれから市議や県議になろうと野心を研ぎ蓄えている者たちへの、教育訓練の時間となっている。自民党の政治家というのはこういう言葉を使い、こういう政策の口上を舌回しし、こういう態度で野党を見下して蔑めばよいのだという、自民党政治家を育てる研修素材になっている。 公共の電波を使った自民党政治の「放送大学」講座が続けられている。その結果、テレビを見ているうちに、一般国民が自民党政治家の卵に育てられ、自民党政治にコミットするサポーターに養成されるのだ。効果は小さくない。単に11月の総選挙への影響だけでなく、もっと大きな意味がある。テレビを見ながら、実家がある田舎の町の商店街に思いが寄った。通りの小売店を継いだ同級生たちがいる。昔はそれほど右傾した自民党範疇ではなく、むしろ社会党寄りの、いわば宏池会とか経世会の地方版のマイルドな雰囲気だったが、今はどうやら安倍自民党の支持者として営業して暮らしている。 そうでなければ生きていけないのであり、周囲も同じなのであり、周辺には社会党の姿はなく、それはずっと大昔に絶滅し、共産党も高齢化して消えつつあるからだ。市議や県議は、高市早苗のように毒々しい右翼ほど威勢がよく権勢を張っている。そういう時代に変わったから、安倍支持者でなければ土地で具合よく商売できない。きっと、彼らはテレビを見ているだろう。学校で、必須で最新の教課の授業を受けるように。… … …(記事全文3,599文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)