Foomii(フーミー)

世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

ひなた在宅クリニックの報告動画の弁証法 – むせび泣く憲法25条

予想したとおり、24日以降、ひなた在宅クリニックの往診活動はテレビで報道されなくなった。おそらく、今後一度も紹介されることはないだろう。菅義偉の差配による。24日夜に菅義偉が言ったところの「自宅療養者への体制作り」の意味は、田代和馬をテレビ画面から抹殺するという意味だ。ひなた在宅クリニックが提示した映像は、先週(8/16-21)のテレビのコロナ報道で最も注目を集めた主役だった。同じ動画が素材としてNHKで使われ、テレ朝(報ステとモーニングショー)で使われ、TBS(報道特集)で横並びで使われていた。 おそらく、刻々を撮影したのはテレビ局のクルーではなくクリニックのスタッフだろう(ただ、撮影がプロフェッショナルで、若干謎が残る)。テレビ各局が横一列で田代和馬の映像を放送したのには理由がある。簡単に言えば国策だ。大本営報道であり、内閣府コロナ対策推進室がマスコミに手配し、意図的目的的に国民に視聴させたものだ。そうでなければ、民間人の記録動画を、横一列で一斉に、あれほど丁寧に注力して、キー局が報道番組に活用するという進行はあり得ない。その目的は二つある。  一つは、自宅療養になってもこんな感じで訪問ドクターが診療してくれますよ、大丈夫ですから安心して下さいねという、政府・保健行政当局からのメッセージの発信だ。慰撫工作である。7月下旬以降、デルタ株の猛威によって感染爆発が進む中、自宅療養者と入院調整待機を合わせた数が、東京だけで1万、2万と激増し、感染した者はほぼ全て(上級を例外に)自宅療養措置となった。菅義偉が、分科会に諮らず「中等症も原則自宅療養」を決めて発表したのは、8月2日のことだ。 この「原則自宅療養」の政策決定に合わせて、政府が押し出したのが、ひなたのような在宅の医療機関の活動で、訪問ドクターがサポートするから入院できなくても自宅で安心ですよと、そう国民を騙して信じ込ませるプロパガンダがテレビを使って精力的に始まった。増える自宅療養のコロナ患者への対応は、玉川徹などがずっと訴えている「野戦病院」の設置が正しく、患者も医師・看護師も治療薬も設備も集中して効率的に当たるのが感染症対策として妥当な方法だ。が、菅義偉はその対策を採りたくなかった。
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