Foomii(フーミー)

世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

検査を受けさせない日本政府 - 感染者数をコントロールする「水際対策」

新型コロナウィルスの感染が拡大し、遂に武漢から遠く離れた浙江省南端の港湾都市・温州が封鎖される事態となった。3日の中国の感染者数は1万7205人、死亡者は361人となり、死亡者は前日2日の304人から50人以上増えている。先週の状況を見ると、感染者の増加は一次関数的な直線のグラフで推移しており、この種の感染症で想定される、爆発的拡大を示す曲線のカーブを描いていない。 いわば緩やかに増加している。その理由について、中国当局が感染拡大をよく防いでいるからという評価がある一方、検査態勢のキャパシティの限界が数字の伸びを抑えているのではという見方もある。おそらく後者だろう。武漢以外の都市や省の数字は、医療保健機関が正しく検査し把握した数値に違いないが、武漢のパンデミックはよく捕捉されておらず、発表される日報の数値に反映されていないものと思われる。武漢に窓口が足りず、医師が足りないからだ。 このコロナウィルスの検査には時間がかかる。1日のTBS報道特集で膳場貴子が取材していたが、喉の奥から検体を採取して試験管内に入れ、PCRという方法でウィルスのRNAを検出・測定する。作業工程に3時間を要すると説明していた。検査キットや検査医務に従事する医師の不足が、中国(特に武漢)での感染者の確認数を限界づけているのだろう。病院で診てもらえず溢れている者がいて、その保菌者がまた感染を拡大させている現実がある。 武漢の人口は1100万人。武漢から帰国した日本人565人のうち8名が感染していたので、この結果からは感染率が1.4%となる。この数字を武漢全体に適用すると15万4千人が1月末での感染者数と見込まれる。香港大の研究チームの分析では、1月25日までの武漢の感染者数は7万5815人と推計されていた。実際に発表されている数とは桁違いであり、すなわち、先週、武漢の感染者の10人に1人とか15人に1人しか検査を受けられなかった状況が想像できる。
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