15日夜のテレビ報道は、今回の台風が想定外だったとする表象工作に躍起になっていた。「想定外」をキーワードにして納得させる洗脳工作で、TBSのNEWS23が特に熱心にやっていた。被災者たちにカメラの前で「想定外だった」と言わせ、被災者たちが精神的に怠惰で、想像力と緊張感が欠如していて、日頃のイメージトレーニングが不十分であり、だから天罰が下ったのだと意味づける総括を下していた。 災害への想定が甘かった被災者の自業自得であると、そう言わんばかりの放送内容だった。大雨洪水の災害が起きると、マスコミは必ずこの結論と総括を前に出して国民に教訓を垂れる。被災者の自己責任に帰結させる。政府の責任を隠蔽する。だから、私は先回りして15日に異議を申し立て、気象庁の予報はどうだったのだと問題提起を試みた。スパコンを使いながら雨量計算を誤り、被害が集中する地域の予想を間違えたではないかと指摘した。 さらに重大な政府の過失として、報道でも一部出ているが、国交省の河川情報のサーバーが12日深夜にダウンし、河川氾濫情報と水位監視情報が閲覧できなくなっていた事実がある。12日のテレビ報道は、こういう便利なサイトがあるから自分でスマホで確認しろと、そればかりを繰り返していた。具体的な河川の刻々の危険情報はテレビでは紹介されず、ネット(国交省)に丸投げで、特に東北の河川については不案内であり、注意や警戒を促す報道は全くなかった。 サーバーがダウンした問題は、13日朝の日曜討論で逢坂誠二が軽く触れていたが、国会でも取り上げて国交省の答弁を聴きたい。おそらく、今回、関東整備局は管轄河川の状況をフルの態勢で注視し、水門と水量を管理していたはずだが、東北整備局の方はそれほどでもなかった可能性がある。厳重な指示が国交省から下りていなかった疑いを拭えず、この点を検証する必要があるだろう。… … …(記事全文3,649文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)