台風19号の死者・行方不明者の数は増え続けていて、15日昼の読売の報道では死者は66人になっている。河北新報の記事の県別死者数を見ると、福島23人、宮城10人となっていて、東北地方で特に甚大な被害が発生している。河川の堤防の決壊は37河川52か所と集計されているが、内訳を見ると、福島県で14河川、宮城県で5河川、栃木県で8河川となっていて、北関東以北に特に集中して多いことが分かる。台風19号は東北・北関東・北信に大きな爪痕を残した雨台風だった。 特別警報は大雨洪水の警報だった。当初、襲来前に予想されていた被害は、大雨洪水よりも暴風と高潮と土砂崩れであり、警戒を要する地域として注視されていたのは東海・関東、特に東京を中心とする首都圏だった。政府とマスコミは60年前の狩野川台風を類比させて強調、その被害の範域と態様と規模を国民に想像させて警告していた。気象庁は予測を外したことになる。この点は見逃せない。 気象庁の判断ミスは重要な問題だと思われるので、少し立ち入って追及したい。昨日(14日)のNHKのニュースで、丸森町の13日朝までの48時間の雨量が600ミリと報じられていた。気象庁が11日午前11時に発表した資料を確認しよう。PPTで記述されたPDFの3ページ目を見ると、東北地方の「多いところ」の12日12時から13日12時までの予想雨量は「300-400ミリ」と報告されている。 13日12時までの48時間の予想雨量は最大で500ミリだった。だが、実際には、13日午前6時までの時点ですら丸森町では600ミリも降っているのである。雨量の予測ミスについては、箱根町なども同じであり、今回、多くの地点で予報を上回って観測史上最高の値を記録している。そのため、東北地方だけ計測を誤ったとは言えないかもしれない。だが、11日の気象庁の梶原靖司の説明は、大雨洪水よりも暴風と高波と高潮に重点を置き、その特徴に注意を促した警告だった。… … …(記事全文3,094文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)