… … …(記事全文4,036文字)梅毒が大流行していると、さかんにネットのニュース記事や恋愛コラムに出てくる。
そういえば、私は十年くらい前に尿道炎っぽくなった時に(ただの気のせいで違った)、泌尿器科に行ったら待合室の隣に座っていた若い男が梅毒だった。
「泌尿器科だからな」
と私は思った。
婦人科に行けば、なんらかの性病にかかっている、または不安になっている女性がいて当たり前で、それを見て、その性病が流行っていると思うのは浅はか。
胃腸科に行けば胃潰瘍や胃炎の人ばかりいる。でしょ?
梅毒に話を戻すと、「パパ活が流行しているから」と、どの記事にも書かれている。パパ活とはその前は援助交際という名称だった。名称が変わったら、梅毒が流行るのですか。
バカか。
ペニシリンが発見される前の欧州じゃあるまいし、梅毒用の筋肉注射で治るわけで、なのに増え続けるわけがない。
一度感染した人が治療した後で完治したら、すぐに風俗や出会い系にまた行く事なんて、どんなに頭が悪い人間でもしない。
どんなにバカでも命が大事。
ドラッグ依存症の頭がおかしな男でさえ、「死にたくない」と矛盾した事を言っているくらいだ。
梅毒は空気感染ではないから、確固たる治療薬があるのに、どんどん増え続ける理屈はまったくない。
しかも日本人は、挨拶代わりにキスもしないのだ。
私のように「泌尿器科に梅毒の人が受診にきていて当たり前」と冷静に思う人を信じた方がいい。
泌尿器科や婦人科に行き、性病の人を見たら、
「怖い。○○病が流行ってるんだ!自粛しよう!」
と、瞬間湯沸かし器みたいに思う人は、まあ、日本人的で何よりです。
なんでも、ビクビクしながら大衆の流れに乗る人生を歩めばいい。
それは長生きの秘訣でもあるが、楽しくはないよ。
誰にも相談できない恋愛とセックスの話
里中李生(作家)