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吉田繁治 (経営コンサルタント )

吉田繁治

ビジネス知識源プレミアム:増刊・共通版:経済統計と金融政策の離反
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<Vol.1451号:増刊・共通版:経済統計と金融政策の離反>

2024年7月7日:金融政策のベースとなっているもの


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著者へのメール    yoshida@cool-knowledge.com
著者:Systems Research Ltd. Consultant吉田繁治



中央銀行が行っている金融政策は、何を目的とするものかという疑問が、近年、ふつふつと沸いてきました。

金融政策とは伝統的には、各国の中央銀行の金利政策でしたが、リーマン危機(2008年~)と日本の異次元緩和(2013年~)からは、マネーの増刷が「非伝統的政策」として加わっています。非伝統とは、過去に中央銀行がとったことのない金融政策ということです。
(注)なぜ、非伝統的政策が必要だったのかの説明はない。

現在は、2020年のコロナ危機の対策としての、ゼロ金利と、日米欧の中央銀行による通貨増刷(15兆ドル:235兆円)のあとの、物価・株価・不動産価格が上がり、賃金上昇が追いつかない「バブル経済」でしょう。

〔現状は・・・〕金融経済が実体経済を反映しなくなって、期待で膨らむ金融経済のなかで、2020年からは「資産価格のバブル」が起こっています。バブルとは、マネー量の増加が生む、未来への市場の過剰な期待であり、GDP(実体経済)と賃金の上昇をはるかに上回って、上がっている状態です。

〔原理〕本来は実体経済(GDPの生産と需要)と金融経済(マネーの循環)は、実物と影(数字)の関係です。人体で言えば、実体経済が筋肉の物理的な動きであり、マネーの数字は神経と血液です。中央銀行の非伝統的政策で、マネーの数字(神経と希薄化した血液)が大きくなると、資産価格(株価、不動産、資源)に過剰な期待が起こって、バブル化します。

〔結果:世界の総負債はGDPの3倍〕2008年からのリーマン危機、そして2020年のコロナ危機のあとの、1)ゼロ金利と、2)通貨が大増刷された結果として、世界の負債(300兆ドル)が、世界GDP(100兆ドル)の3倍を超えました。

非伝統政策である中央銀行の通貨の増発は、酸素と栄養を運ぶ血液そのものを増やすのではなく、血液に生理的食塩水を薄めて量は増やしますが、成分の濃度は低下させることです。

これが、GDPに対する通貨の1単位の、価値の低下です。リーンマン危機と、コロナ危機のとき中央銀行は、マネー(血液)に生理的食塩水を入れて、嵩を増やし、1単位のマネー価値を低下させたのです。

FRBの以下のバランスシート(B/S)のグラフは、
・リーンマン危機のあと、2008年9月から2015年に4兆ドル(620兆円)、
・コロナ危機の2020年から2022年に4.5兆ドルの、生理的食塩水を投入し、ドルの血液量の見かけを増やしてきたことと、
・2022年には9%の物価インフレが起こったあと、マネー量を1.5兆ドル(235兆円)絞ったことを示しています。

米国では、まだ、7兆ドル(1085兆円)が過剰であることを示していて、これが、株価バブルと不動産バブルの原因になっています。
(FRBのB/S:2004-2024)
https://fred.stlouisfed.org/series/WALCL

日本の世帯からは、2024年は、新NISAの税優遇策で、6か月で7兆円(年率では14兆円)の、「ドルバブル株の買い・円売り」が起こって、1ドル160円台の円安の一因になっています。もうひとつの円安の原因は、キャリートレードの建玉(未決済残)25兆円です。ゼロ金利の円を借りて、金利が5%のドルとドル債を買うことです。日米金利差が5%と大きいのでキャリートレードの円売りが起こります。



<Vol.1451号:増刊・共通版:経済統計と金融政策の離反>
2024年7月7日:有料版・無料版共通

【目次】
■1.マクロの全体では、金融資産=金融負債である。
■2.中央銀行の、公的な使命
■3.矛盾する使命
■4.家計消費で、重きをなす肉類の需要
■5.雇用不安が75%の国になった、2020年代の日本
■6.日本にも、政治任官が必要

【後記:AIの利用】



■1.マクロの全体では、金融資産=金融負債である。

例えば国債は持ち手にとっては金融資産ですが、発行した政府にとっては負債です。国債の金融資産=政府の負債です。
・預金は世帯の金融資産ですが、銀行にとっては負債です。
・通貨は、持ち手にとっては金融資産ですが、発行した中央銀行にとっては負債です。
・株は、株主にとっては金融資産ですが、株券を発行した企業にとっては、資本という負債です。

以上のように、マクロ経済の全体では、金融資産=金融負債です。
・預金を2000万円もつ世帯は、銀行に預金金利で2000万円貸しています。
・株券の時価1000万円もつ人は、時価では1000万円を企業に出資していることと同じです。
・米国株を1000万円もつ人は、時価では米国の企業に66万ドルの出資をしていることと同じです。

総金融資産=総負債ですから、金融資産(国債発行残+株価時価総額+債務総額+債券発行高)も、世界GDPに対して3倍に膨らんでいるのが、現在です。金融資産がGDPの3倍になっていることは、現在の日米欧と世界が、「過剰な負債による株価・資産バブル」であることを示しています。

世界のマネー量は、生理的食塩水で膨らんでいるので、血圧が上がりすぎた過剰負債バブルでは、いずれ、血管が破裂します。

(世界の債務増額:2023年:313兆ドル:IIF)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/TOL2THJFKZI7PKSI54RJ7AT6EI-2024-02-21/
(世界のGDPに対する債務の増加傾向:2000年GDPの180%:2022年238%:IMF)
https://www.imf.org/ja/Blogs/Articles/2023/09/13/global-debt-is-returning-to-its-rising-trend

■2.中央銀行の、公的な使命

中央銀行の、公的な使命は3つです。
(1)通貨の価値を下げないこと。言い換えればインフレを起こさないこと。

(注)現在、世界の中央銀行は2%の消費者物価インフレを実体経済にとって「適度な水準」としています。2%の根拠は「不明」ですが、中央銀行が2%以下のインフレ(=マネー価値の低下)をデフレ(=マネー価値の上昇)と考えているからでしょう。

(2)失業率を完全雇用(米では失業率4%付近、日本では3%付近)に保つこと。失業は、国民生活にとって生命の次の悲惨になるので、完全雇用を維持する金融緩和策をとることが、中央銀行の二番目の使命になっています。

コロナ危機のとき、米国での失業率は(瞬間恐慌的な)15%に上がったので、政府は財政支出を拡大し、FRBは国債を買ってマネーを増発し、パンデミック恐慌を防いだのです。

(3)3番目は、銀行の危機のとき救済すること。銀行資産の不良債権(債券の下落と融資の不良化)から資金繰りの危機になったときは、中央銀行が通貨を増刷して、銀行危機をおさめることです。

リーマン危機のあと、2008年9月からFRBは4兆ドルのドルを増刷して、金融システムを助けました。

【第4の使命】
以上の3つの他に、隠れた使命として「株価を下げないこと(=上げること)、不動産価格も上げること」が加わっています。

株価と不動産には多くの、必要な需要を超えた消費額以上の多くのマネーが「取り憑く」からです。(銀行という仲介機関への世帯と企業預金の増加→ファンド、株、不動産、通貨投資)

米国では、5800社の株価の時価総額が45兆ドル(7000兆円:GDPの1.8倍)のに膨らみ、日本でも時価総額が1000兆円(GDPの1.7倍)へと、過剰な膨らみをしています。

バブル株価が30%も下がると、ファンドと金融機関の損失(言い換えると資産信用の低下から)、マネーの預託者の解約または取り付けが起こって、金融危機になるからです。(注)リモートワークが50%になった商業用不動産が先行して下落していますが、これは、住宅価格、株価、債券に、時間遅れで波及していきます。

金融危機をおさめることは、中央銀行の使命ですから、株価を下げないことも、実質的な使命になっています。

■3.矛盾する使命

中央銀行は、以上の4つの、矛盾する使命をもっていて、金融政策(内容は、金利政策と通貨増発政策)を実行しているため、実体経済の統計の都合の悪い数字の曲解と言い訳がされるのです。

これは、政府も同じです。日本で物価統計を作っているのは、総務省です。この総務省は、世帯の消費の減少(2024年5月:実質でマイナス1.8%)に対し、以下のように答えています。

〔事例〕「物価高の(マイナスの)影響が出ているなかで、(世帯消費は)なんとか横ばいの状況をたもっている。円安の影響は、外国パック旅行の減少以外では、現時点では思い至らない」
・・・本当か?というような内容です(日経新聞:24.07.05:夕刊)

1ドル155円、160円の円安の影響が、世帯消費には出ていないとということが、総務省の見解です。

物価と消費のデータを見ていない答えです。大臣以下全員が辞職に値するくらいの「無責任」でしょう。

これを言っても今はまだ虚しい。支持率が、政権維持のリスク率を超えた「16%~25%」に下がり、不支持が「65%~70%」の岸田首相と同じように反応がないからです。政権危機の低い支持率でも平気なのか、あるいは、あることのない回復への願望を抱いているのか。

自民党では、内閣の支持率が低いままなら、たぶん80名以上(30%:3人に人)が次回選挙で落選し、失業者になるので、「それはイヤだ」と岸田降ろしが起こっているのです。

自己中心の考えしか政治家にはない。国民のための岸田降ろしではなく「単に政局」です。安倍元首相がいた前回の選挙(2021年)で当選した地盤の弱い議員も多い。2022年の参院選は、選挙中の7月8日に、奈良の西大寺せ暗殺されたときでした。

行政権力をもつポジションの官僚組織と岸田首相は、小池都知事(今日が投票日)が、カイロ大学卒業疑惑に正面から答えないことと同じように、「やり過ごす」と決めています。どうやった作ったか不明の卒業証書はあっても、肝心なアラビア語ができないので、正規の年限と試験に合格した証書ではなく、カイロ大学または関係の誰かが、有名政治家に与える名誉証書です。ビル・ゲーツも、いろんな大学の勲章のような名誉卒業証を与えられています。

岸田元首相と小池さんは「メディアの批難は、75日で収まる」と見ているからです。

岸田首相はたぶん秋の総裁選までには、世論は収まるという虚しい希望で、首相を続けています。75日(2.5か月)は、一時的には盛り上がったメディアの論が、「古いもの」として収まっていく時間であり、古来、「社会的な集合意識」のサイクルの根拠になるです。

メディアのNEWSでは、元来「新しいものに価値がある」とします。格言の「人のウワサも75日」と同じです。政権は、昔から、こうした「世論のサイクル」を使ってきました。

個人の感情では、「時間が薬」であることは確かです。感情には、確かに、細胞がもっている自己修復の機能があるのでしょう。愛する人やペットが亡くなるという人生の悲嘆も、時間ともに弱まっていきます。

論理的な理性とは違い感情は、長時間は持続しません。理性は、太古の中国やギリシア以来文書として持続しています。しかし個人の感情は消えています。小説の場面としては残っていますが、それは、消えた感情の残骸です。

具体的な商品で円安、物価、需要との関係を見ていきます。

■4.家計消費で、重きをなす肉類の需要

牛肉では、年間需要が88万トン(人口1人あたり7kg:コメは55kg/人)、うち国内生産が34トン、輸入が54万トンで、輸入が61%を占めています。
・需要が183万トンの豚肉(1人あたり15kg)では、輸入構成比が50%、
・需要が225万トン(1人あたり18kg)の鶏肉では、25%が輸入です。

米国産牛肉はバラ肉の卸価格が1キロ1500円くらいですが、前年同期と比べ81%上がっています。感覚的には約2倍で、国産牛との価格差は小さくなっています。

輸入豚肉も1キロ900円付近であり、前年比で40%上がっています。1ドルが105円だった2021年比で35%の円安からの、輸入品高騰に対応し、需要が増えた国産牛肉、豚肉、鶏肉も上がっています。

円安が主因の、飼料・育成料・物流料と食肉価格高騰のため、牛肉全体の需要は、2018年の62万トンから、2022年は56万トンへと6万トン(10%)減っています。5300万の世帯所得は、1997年の664万円から545万円へと18%も減っています(2021年)。

所得が減るなかで、輸入品の価格が円安で35%上がって、5300万の世帯はやむなく牛肉の購買を減らして、グラムあたりの単価が牛肉のおよそ1/4の、鶏肉にシフトしているのです。鶏肉の輸入は、5%くらい増えています(4万9000トン:24年7月)。

以上の現象は、明確に円安が原因です。わが国は食品の60%を輸入に頼っています。

加えて、100%が輸入肥料の円安での高騰と、輸入エネルギーを使う電力と生産と物流での、動力費の上昇のため、スーパーの生鮮野菜も前年比9.4%、菓子類は5.7%、穀類は6.7%、生鮮果物は12.2%、肉類は4.6%、調理食品(弁当と惣菜)は3.3%上がっています(2024年6月東京都)。

世帯は、日銀の生活意識調査では、物価上昇は10%とし、来年も10%上がると予想しています。これが、行動経済学のダニエル・カーネマンが、『ファスト&スーロー(な判断)』で示したファストな、直感の判断です。

物価統計はスローな判断の数理データです。経済行動は、例えばスーパーでの買い物は、直感的なファストな判断で行われます。

買いものの原資になる世帯収入が減ったと答える世帯が28.5%、変わらないが54.5%、増えたと答えるのは15.6%(6世帯に1世帯)です。6世帯のうち5世帯は、収入は増えず、物価上昇で支出は増えたと答えています。
(日銀 生活意識調査:2024年4月12日)
https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2404.pdf

わが国の問題は、失業は増えていなくても、雇用の持続と賃金の上昇には及んでいます。

◎1年後を見た、勤務先での雇用・処遇について、
・不安をかなり感じるが26.6%、
・少し感じるが48.2%、
・あまり感じないが25.0%と少ない(4人のうち1人)。

昭和時代には、終身雇用と年功序列とされてきた会社員の4人のうち3人が、雇用不安、収入不安を感じています。

そのほとんどが、実感では10%のインフレのなかでも、賃金が程度1%しか上がっていない中小企業の社員でしょう。

【問題の所在は、統計のサンプリングである】
実体経済の物価、賃金、失業率は、統計の数理経済です。
日銀の生活意識調査は、行動経済学的です。

商品を買うとき働くときは、人は、例えば物価では3%上昇という数理経済による判断ではなく、アンケート調査の集計で得られる感覚的な判断(10%インフレ)から行動しています。

総務省統計の消費者物価の上昇は、2024年6月が前年比2.3%です(生鮮・エネルギーを含む総合)。24年6月の3.2%からは0.6ポイント下がっています。「物価上昇は沈静化している」というのが政府・日銀の統計数字からの見方です。

こうした統計データによる数理経済学は、数学である数理経済学の体系ではなく、その基礎である事実の統計データに問題があります。

物価の統計では、例えば株価・地価の上昇を計算しない。株価・地価の上昇は、人間の行動経済学風にはインフレですが、政府のインフレ統計には入れていない。このためもあって、世帯の実感の物価と、物価統計には大きな乖離がでます。

(注)株価の次期予想純益に対するPER倍率の上昇は、株価評価の期待過剰インフレです。地価の上昇は、住宅購入のコスト、オフィスコストを上げる期待過剰インフレでしょう。

米国FRBでは、雇用数の増加速報(現在は約20万人/月)を、物価上昇。金利とともに実体経済のもっとも重視する指標にしています。雇用数が20万人増えると経済は順調とする。

米国では、コロナ以降に増えたダブルワーカーは、働く人が増えていなくても雇用数増加では2人になります。

米国の大都市での、店舗を襲う暴動の多発は、失業者の増加を示すものです。しかし、失業率は4.1%と米国にしては低い。

バイデン政権で1年200万人、3年で730万人に増えた不法移民の失業は、「法的には存在しないひとたち」ですから、失業と雇用から漏れています。不法移民に対しては、政府が生活費を支給しています。全人口3.3億人に対する移民は15%の5000万人です。

日本では、スーパーに行く世帯の実感では、物価は10%上がり、来年も10%上がると予想しています。その上に、雇用と収入の維持に不安を抱えている人が6041万人の勤務者のうち75%と多い。

株価と金は2倍に上がったが、
・2000万円の預金が、1ドル160円ではドル換算では30%減って1400万円の価値になった。
・海外旅行には、2倍がかかる。
・所得に対する官僚行政の国民負担率は、55%に上がって、
・世帯所得は上がっていないなかで、
  自由裁量で仕える可処分所得は45%に減った。

これが、メディアが総合的には描かない2024年の「日本の形」です。

■5.雇用不安が75%の国になった、2020年代の日本

日本のように、75%が雇用不安を感じている国は、普通なら、政権転覆が起こりますが、日本人は大人しい。なぜだろうか?と考えます。政府と新聞・TVメディアの情報に飼い馴らされてきたためか。

フランスでの、反マクロンの、右派の台頭の根は、国民の格差拡大に対する反発・反逆です。英国で労働党の台頭(保守党のスナク首相の退任)も同じです。欧州と米国で、同時に起こっています。日本では、「政権と自民党支持の減少」となって現れています。

2008年のリーンマン危機と、コロナ危機を経て、通貨の増発の金融資産バブルが作った資産と所得の格差が、現代社会の本質的な問題です。

・1980年までは、「資産と所得の中間層の増加」でしたが、
・2008年以降は、「日・米・欧・中で、トップ1%が国の金融資産の50%をもつ時代」になっています。19世紀の「資本家の搾取」をはるかに超えたのです。

マルクスの時代には産業革命が作った格差の是正が、労働者の社会運動でした。

◎独裁国に限らず、民主国の新聞とTVメディアとキャスターも、国民を飼い馴らすための情報を伝えます。欧州と民主党の米国、自民党の日本に共通しています。

民主国が、旧メディアではないSNSの自発的情報に対する、統制国になったのです。「根拠がないと言って無視する陰謀論」が、そのときのレッテルです。

ときの政府から絡(から)め手で情報統制されたメディアという色が濃くなったのは、世界共通に2000年ころからの24年間です。
・米国大統領の前回選挙の2020年、
・コロナ危機とワクチンの2020年、
・ウクライナ戦争の2022年からは、特に激しくなっています。

こうしたなかで、
・日銀の植田総裁は、「円安は[基調物価(意味不明)]を上げていない(24年5月)」と言い、
・総務省は「円安の影響は、外国パック旅行の減少以外では、現時点では思い至らない(24年7月)」という。

これが、官僚的の認識の代表でしょう。本当にそう思っているのなら認識(=現実の概念化)の不足と、データの意図した曲解が甚だしい。国民のための官僚の資格はない。国民のためには害が多く、リストラすべき人たちです。

■6.日本にも、政治任官が必要

トランプは、現在の政府の中枢である幹部官僚5万人を辞めさせて、チェンジすると言っています。

これをトランプ革命というなら、確かに革命に値します。連邦国のワシントンの深層政府化(DS)は、1970年代後期カーターの時代に始まり、1990年代のクリントンの8年で強化されました。

DSにはCIAと軍部、100兆円の軍需産業、ウォール街金融、製薬会社とWTOがついています。

対象になると自覚する、幹部官僚5万人と民主党は、トランプには負けるバイデンを降ろして、勝てると思える候補を立てます。ただし候補を変えても、トランプに勝って幹部官僚がポジションにとどまる可能性は低いだろうと見ています。

不慮の事故やテロは別ですが・・・。バイデンが1人で下せる大統領令で、ウクライナのように選挙の延期すらありえます。不正集計は、およそ5%の票差以内でないとバレるからです。

米国には、大統領が替わるときポリティカル・アポインティー(政治任官)をする官僚の雇用慣習が残っています。トランプはこれを使う。日本にはない慣習です。(注)残すか、辞めさせて交替するかを、大統領が4年ごとに決める制度。財務長官・次官も、銀行や学者から来ます。

刑事事件での起訴がないかぎり、終身雇用とされるキャリア官僚にこうしたチェンジの制度がないため、「財務省」の、財政とマネーでの行政権が強くなり、成長のない国になっているのです。

財務省が裁量権で差配する特別会計の、総額436兆円から一般会計との重複分を除いた純額は、207.9兆円です。
特別会計は、国会で審議される一般会計(112兆円)の約2倍の金額の予算スケールです。
(特別会計:財務省の説明資料:2024年度)
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/special_account/r6yosan_kibo.pdf
(国民所得のなかの国民負担率:1970年は24.9%→2024年は50.9%)
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/sy202402a.pdf

ここは、国民の目が届かない、天下り機関の伏魔殿です。民主国ではあり得ない官僚の裁量による、差配権益になっています。

財務省が、1200兆円の国債(政府負債券)を発行したのは、自己の差配権益の拡張が目的でした。

財務省が決定する一般会計との合計では、「112兆円+207.9兆円=329.7兆円」です。名目GDP598兆円の、55%も占めていて、国民負担の50.9%という高い率になっています。

官が民より大きなった経済が、成長するわけがない。経済が投資と需要の増加で成長するのは官僚予算(一般会計+特別会計)が国民所得の40%以下のときです。日本では、15%超過(89兆円超過)しています。

日本は、国民のためには、大幅な減税が必要な国家です。
減税に強く抵抗するのは、財務省です。一般会計+特別会計の大きさが、財務省の支配権益の深さと幅だからです。

家人が経理をやっていますが、いつも「今月は消費税、来月は所得税、翌月は社会保険料の支払いです」と嘆いています。国と地方の請求書は、確実に郵便で来ます。徴収を忘れることはない。これが行政です。

首相交替とともに次官・審議官・局長は、チェンジができる制度が望ましい。それが「実定法の上にある行政権を配下におく民主主義」です。

「国の作り替え」と「万機公論に決すべし」への国家の刷新になります。

米国は、政権の交替として、自浄作用があります。自民党支配の日本には一般会計と特別会計の自浄の仕組みがない。


しかしこれは、議会での3つの法改正で作ることができます。

(1)官僚の幹部の、政治任官の制度。
(2)一般会計+特別会計を、国会審議の対象にすること。
(3)日銀は、財務省が55%の株をもち、事実上は政府の機関です。
   ・日銀の予算枠は、特別会計に含むことができます。
   ・日銀の総裁は、通貨局の次官でしょう。

【後記:AIの利用】
今将棋の王位戦の中継をABEMAで中継しています。AIとほぼ同じ手を指すことが多い藤井聡太王位に、AIの登場で無冠になった渡辺9段が挑戦しています。第一局の2日目です。

今、駒の衝突寸前の局面(午後0時)。なぜか、渡辺9段を応援。7冠の藤井聡太が強すぎるからです。藤井将棋は思わぬ手があって面白い。

2015年から、棋譜を自動研究する深層学習型のAIがプロ棋士に勝つようになって、20歳前後の若手が台頭し、将棋界は様変わりしました。練習にAIを使って、局面での最善手を訓練しているからです。

藤井聡太はAMD社の超高速CPU、Ryzen(ライゼン)を使ってPCを組み立て、最強のAIアプリであるたぶん水晶を入れています。

いずれ世界の文章と数字を扱う事務職(シンボリックワーカー)は、藤井聡太のようなAIの操作者になるでしょう。PBの商品開発でも、最適なものの仕様と価格をAIが示すことは可能でしょう。

ネットワークのサイバーな世界です。官僚の行政も文章と数字ですから、AIの得意分野です(エストニアが実験国家)。文章と数字を処理する官僚の人数は30%に削減できるでしょう。

裁判官も、ニュートラルな、深層学習型のAIが判決案を作れます。税が財源である官僚の賃金とは何かという反省が必要です。

金融政策も最適なものをAIが作ることができます。人間は、その案を判断してチェックすればいい。

法案でも、日本の構造に最適なものをAIが作れます。10年後はそうなっていくでしょうか。プロ将棋界は、5年で革命的に変わりしました。

藤井聡太は、たぶんオーディオはやっていない。
しかし実は将棋のプロには、クラシックのファンが多い。


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