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＜Vol.1445号：増刊・共通版：2025年の断崖に向かう株価バブルのなかの断章＞

2024年6月8日：金融の嵐は、水面化で起こっている。6月までには60％、9月には90％の確率か・・・
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著者：Systems　Research　Ltd. Consultant吉田繁治

土曜日の、増刊・共通版をお届けします。テーマというより標題は＜2025年の断崖に向かう株価バブルのなかの断章＞です。

■1.バブルの株価

米国の現在の高い株価では、
（1）まず、コロナ後の通貨増発(15兆ドル：2350兆円）によるインフレを認識しておく必要があります。

（2）つぎに、2022年3月からのFRBのインフレ対策としての利上げ（0.25％→5.5％）とQT（量的縮小）。いずれも金融の引き締めです

（3）ところが、FRBの引き締めによって、世界とりわけゼロ金利をとっている日本からの「ドル買い・円売り」が増え、2020年1月には1ドル105円だったドル・円のレートは、現在、157円です。この円安は、世界の外為市場で｢ゼロ金利の円売り・金利のあるドルの買い｣が大きかった結果を示すものです。

メディアで言われる米国経済の好調、日本経済の衰退ではない。1200兆円の国債を抱える日本が、国債価格を下げて金利を上げる｢利上げ｣ができないのです。
（ドル・円のレート：5年）
https://finance.yahoo.co.jp/quote/USDJPY=X?term=5y

4年間で50％のドル高・円安という異常さです。原因は「ゼロ金利の円売り・5％台の金利のドル買い」の過剰です。

◎日本の金利は、3％のインフレでも銀行預金では0％、1年に円の価値は3％低下します。

一方、ドル金利は預金のMMFでも約5％付近です。円が売られドルが買われるのは当然でしょう。米国の株価でも、年15％から20％上昇の期待を市場は期待しています。

（4）日本を筆頭にした、5％台の高金利のドル買いの結果、FRBが金利を5％上げて、国債とMBS（エージェンシー債）を売って、金融を引き締めても、米国のマネー量は減りませんでした。

利上げによって金融(マネー量）が引き締まって、下がるべき米国株は、内外金利差が大きいためドル買いが増えて、逆に上がったのです。これが、2022年から2024年6月の状況です。

■2.イーロン・マスクの報酬8兆円を裁判が承認

EVのテスラの、イーロン・マスク氏のオプション株での報酬8兆円が、株主総会で承認され裁判でも認められたというニュースを聞いて、その金額に驚きました。

なにせ8兆円。1億円の8万人分。東京都の全部の税収と同じ金額です。もし、マスク氏が金に換えれば、日銀並みの700トン分です。1万円札では8億枚です(1枚1グラムであり紙幣の重量は800トン）。円では1グラムの金が1万3000円付近です。

◎1枚が1グラムの1万円札と、1グラムの金の価格が、およそ似ているのですから、これは紙幣の価値の低下を示す面白い一致です。

仮に、明治時代の円で100万円の金(1000kg=1トン）をもっていれば、事業は行わず保管しているだけで、現在はその1万3000倍ですから1兆3000億円という超(兆）のつくお金持ちです。

金の比重は19.3グラムと鉄より重いので1000kgと言っても、52リットル相当。1リットルのペットボトルで52本分が1.3兆円。円の100年以上での、長期インフレ効果です（＝円の通貨価値の長期下落）。円預金の国民は、いつも損をしてたのです。

ドル・円・ユーロ・人民元という「信用通貨｣はいくらでも増刷ができる。金は、増産ができない。このため金は、通貨の増発によって価値（価格）が上がることが、根本のしかし普通の、中学生でも分かる原理です。

ところがこの原理を、信用通貨を重んじる経済学は、決して言いません。原理から説明すれば、中学生なら十分に理解します。自分の目では分からないこと、例えば・・・｢地球は1日1回自転して、1年で太陽の回りを1周する｣ことは、小学生も知っています。

本当のことを原理から言うのは、学会ではタブーになっています。日本のイスラム学会も同じです。｢医薬とコロナワクチン｣についての医学界、そして原子力発電では原子力学会でも、言ってはならないとされるタブーがあります。

(注)日銀の創設のとき(1882年）の金の価格は、1グラム＝1円＝1ドルでした。

142年で円では1万3000倍（年平均7％上昇）です。｢金価格は通貨価値の下落であるインフレで上がる｣と考えていい。1999年1グラム800円→現在1万3000円（16倍）も、円が増発された結果の、円の通貨価値の下落を示します。

1世帯平均2000万円の数字を保つ銀行預金は、金に対しては、1999年からの25年間で1/16に下がったのです（年平均のマイナスは10％）。2012年からはドル預金に対しも41％下げています。

日本経済の衰退が言われますが本当はそうではない。ドルに対して1/2の円安で、所得、GDP、預金、物価も、ドルでは1/2になっているだけです。仮に、1ドル80円になると、円では同じ日本の所得、GDP、預金、物価はドルでは2倍になります。過剰なドル買いからくる円安が問題なのです。

マスク氏の、2024年度の8兆円の報酬も、金価格に対する円の価値下落から考えれば、1999年の金価格では｢8兆円÷16＝5000億円｣。米国ではトップ企業での並みの経営者報酬になります。これが実際の価値です。

【経営者の超高額報酬になったオプション株】
オプション株は、会社が経営幹部に、一定の価格で株を買う権利を与えるデリバティブです。もらったときは「買う権利は実行されていない」ため金額はわからず、そのときは会社の経費にならない。

オプション権（買うか売るかの選択権の意味）は、権利行使価格（オプション株をもらったときの株価が多い）より上がったとき、「上がった株価を買う権利の実行-権利行使価格＝利益」が出ます。
原資産から派生した権利を、デリバティブというのです。

市場の株価を上げる主因は、1株あたりの次期予想純益(Equity Per Share:　EPS)です。テスラは4.73ドルです。PER（株価÷次期予想純益）は47.2倍と2倍は高い（株式益回り5％での妥当値は20倍ですが、その2.4倍の市場評価です）。

EPSが4.73ドルですから、1株の株価は｢4.73ドル×47.2倍＝223ドル付近｣になります。8兆円のオプション株に関連する時価総額は、これに発行済み株数をかけたものです。

EPSに発行済み株数をかけた時価総額は、5717億ドル（89兆円）です。マスク氏は、安くもらっていたオプション株の権利実行で、テスラの時価総額の、約10％の報酬を得たことになります。

(注)今日のテスラの株価は、183ドルです（24.06.14）。
https://us.kabutan.jp/stocks/TSLA

■3.異常に大きな、米国企業の自社株買い

◎テスラを含む、米国メガテック7社の株価を大きく上げた主因は、｢積極的な自社株買い｣です。

市場の流通株を、その利益から発行会社が買い上げ金庫株（流通性のない自社株）にする。株価を決める1株あたり予想純益（EPS＝次期予想純益÷流通株数）は上がります。

事業の次期予想純益が1兆円で同じであっても、発行株の、10％の1000億円の自社株買いをすれば、EPSは（1兆円÷0.9＝1.11倍）になって11％上がります。

株価は最低でも11％上がります。普通、20％くらい上がります。自社株買いの発表をすると、投資家の期待買いが増えて、PERも約10％上昇することが多いからです。

自社株買いは｢発行済み株の買い戻し｣です。会社の資本の株数を減らす｢減資｣です。
・1990年代は、「株価操作」に当たるものとして禁止されていました。
・2000年代に「株主カバナンス（株主の経営支配）」強化の風潮にのって、株主配当の一種とされて、日米欧で認可されました。

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米国の自社株買いは、1年に1兆ドル(155兆円）以上と巨大です。株の買い手に、株数を減らす発行主が加わったという「異常なもの」です。米政府が、政権支持率のため「株価高騰」が必要だったからです。
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日本でも、米国のあとを追って年間で10兆円に増えています(2023年）。2024年は、倍増した20兆円の傾向です。年々2倍。東証は、米国の1/3以下だった｢日本株のPBR(株価÷純資産）｣を上げるため、自社株買いの｢旗振り｣をしています。

◎米国株（NYダウ3万8000ドル）のうち、30％部分（1万1400ドル）は、自社株買いによる株価上乗せ部分でしょう。日経平均3万8000円で30％部分は1万1400円にあたります。

日米の株価は、積極的な自社株買いによって30％は高い。事業の成長のための設備投資、人材への投資に振り向けるべき純益を、自社株買いに充てたのです。

◎この根本の原因は、特に米国で、経営者の報酬として、発行のときは経費にならないオプション株が大きくなったためです。事業からの報酬が年俸5億円、オプション株からの利益報酬が500億円という事例は、ザラです。

自社株買いは、蛸が自分の足を食ってお腹を満たした気分(株価が上がった気分）になっていることと同じです。

イーロン・マスクのテスラだけではない。
以下は過去10年の自社株買いです。
・NVIDEA　　　　　  1.0兆ドル（155兆円）
・テスラ　　　　　　8300億ドル（129兆円）
・バークシャーハサウェイ　　8100億ドル（125兆円）
・メタ　　　　　　　7700億ドル（119兆円）
・アップル　　　　　6200億ドル（96兆円）
・アルファベット　　2100億ドル（33兆円）
（・・・・）
https://www.moomoo.com/ja/community/feed/company-stock-purchase-ranking-tesla-and-nvidia-surpass-market-capitalization-111101786259462

米国の株価時価総額（6000兆円：日本6倍）の、30％(1800兆円）は自社株買いで上がったものであり、経営者のオプション株が、リーマン危機(2008年）のあとの、FRBによる16年の金融緩和のなかで、サステナブルではない超高額報酬になってきたのです。

米国の株価時価の30％部分は、米国政府が、国民の支持率を目的に推進した政治的な加算でしょう。日本も、米国ファンドからの意思を受けた自社株買いの増加で、米国を追っています。

11月の米国大統領選挙に向かって、民主党はトランプに勝つ支持率のため、株価を上げる金融と政策を総動員しています。

(注)バイデンの支持率がトランプより有意に上がらないと、不測の緊急事態が10月ころ起こってバイデンから戒厳令が発令され｢ウクラナのように大統領選挙延期｣も想定できます。
・現大統領の任期である2025年1月15日まで｢何が起こるか？｣油断ができない。

株価に対して保守的だったトヨタも、3.5兆円の税引き純益の4.9兆円(24年3月期）から1兆円を使って、自社株買いをすることを決定しました。EV化と自動化を含む設備投資は1.2兆円です。2025年3月期に向かってEPSを4％は上げ、株価を10％から15％は上げる要素になるでしょう。

日米の株に投資するとき、2021年から特に大きくなった自社株買いバブルの要素30％は、意識されていなければならない。

｢老婆心的｣でもいい。むざむざ、大きな損をする事態は避けていただきたい。2世代前(60年前）が青春だった｢おばあちゃん｣は、自分の経験から、歴史的な視点をもっています。イーロン・マスクのおばあちゃんが存命なら、オプション株と8兆円の報酬にどんな警告をしたでしょう。3年後には、｢あの時期は、あんなこともあった｣という歴史になるでしょう。

マスク氏は8兆円の報酬（課税は約20％）で何を行うのか？
政党作りか、献金か。米国の国会議員1名は約30億円で作れます。1兆円で300名。政党作りは政治的主張より、まず選挙費用、TV宣伝のお金です。自民党が、パーティを止めることができない理由は、公開できない選挙費用のためです。

米国株はこの自社株買いと、5％の金利差のある円からのドル買い（円を売って米国へマネー提供）によって、史上最高の高値圏にあります。

金利を上げることが、逆転して、海外からのドル買いが増えて米国の株価を、時価総額6000兆円（日本の6倍）にまで上げてきたのです。適度な価格は、日本の3倍の3000兆円でしょう。

◎ドル買いでもっとも下がったのは円です。2020年の1ドル110円から45円（40％）の円安です。ドルを高く支えた円が、2023年秋から水面下に沈んでいます。

しかし・・・2024年の秋（9月）からは、80％くらいの確率でドルの利下げと円の利上げです。2024年9月以降は円安を作ってきたドル買いが減り、円高の傾向を示すでしょう。2025年になると、FRBは更に3回の利下げをするという予想が多い。

◎2024年末から米国株価はたぶんピークアウトします。米国株と一緒に日本株も、下がります。東証の売買では65％が米英系ファンドからのものだからです。

■4.オーディオの音の改善

自作装置の改善は、密やかに着実に、続けています。6か月間では、大きな項目では2点の、自己工夫の工作です。お手本はない。創造というより試行錯誤です。あれこれ頭で考えることが、楽しい。

▼（1）以前書いたのでここで書きませんが｢背面質量支持（約8kgの鉛棒）｣のスピーカーユニットのコーン紙の裏面に、
・柿渋の塗料を5回塗り、
・表（おもて）面には｢ダイアモンド粉＋柿渋＋水性アクリル塗料｣を3回塗る。

ヒントは、20cmユニットの伝統的銘器JBLのLE8でした。コーン紙を見ると、漆喰のような白い塗料を塗っています。目的はコーン紙を固くし、振動で周辺が歪むコーンの分割振動を抑えて音をクリアにすることでしょう。

このコーン紙を真似て、裏面には柿渋の塗料を5回塗り、表面には｢ダイアモンド粉＋柿渋＋水性アクリル塗料｣を3回塗ったのです。（150HZから2500HZのもっとも大切な中音部）。

ユニットはFOSTEXのFE206NVの新品です。LE8Tと同じフルレンジですが、能率が96dbと最高度に高く、｢明るく張りのある音｣であり、日本の名作として定評があります（今は中国で作っています）。

コーン紙の動的質量は15.2グラムともっとも軽い部類。FEシリーズの特長であるコーン紙の軽さと高い能率を活かしたまま、コーン紙を硬く加工することが、目標です。

能率の高いスピーカーユニットが微少音への反応がよく、信号へのリニアリティが高く、音のヌケがよくなります。その証拠に、小さい音でも遠くまで届きます。能率が80db台と低いと、音がボケます。小さい音では聴けない。

LE8Tはコーン紙が重く能率は89db（現代スピーカーに比べると高いのですが、FE206NVの1/4）。音は、やはりJBL風のジャズ向きです。FE206NVと同じ音量には約4倍のアンプの出力が要ります。能率の低さからのボケを防止するための改造を加え、オール純銀の棒（この棒だけで10万円か？）でLE8Tと結線している工房もあります。

価格は1台が107万円、左右で214万円。すごい・・・迫力です。(ケンリックサウンド）。ただし大音量で鳴らさないといい音にならない。一方、能率がたぶん世界1高いFE206NVの改造版は、微少音でもいい音が崩れません。
https://www.youtube.com/watch?v=1hskignCQYY

効果ですが正当な改造をするケンリックサウンドで使っているメインアンプは、大型真空管の845。当方も、中音域アンプは同じ845です。845は音がいい（潤いと銀の鈴のような余韻）。

FE206NVは、全帯域再生のユニットです。能率の高いスピーカーは低音が不足するので、箱をバックロードホーンにするマニアが多い。音圧が6dbから12dbも下がっている100HZ以下を、コーン紙の背面の音を反転させて補強する形式です。

スピーカーは、振動板の表と裏では、振動が逆相です。ここに、スピーカーのもつ本質的な障害があります。このため、後ろの逆相の音を、吸音材をいれた木の箱でくるんで消すか、バスレフで出す。この箱の木工工作がスピーカー作りです。

当方は中音域だけで使うので、ムリな方式に思えるバックロードにする必要はない。磁石がある背面に鉛棒8kgを接着し、質量支持にして、磁石とフレームの逆相振動を消しています。

クロスオーバー100～150HZ以下30HZまでの、周波数可変の低音分は同じFOSTEXの30cmウーファーです。集成材の板厚30cmの密閉箱にしています。低音域は、別のアンプで駆動するので、音圧は自由です。箱は1人で移動できないくらいタンスのように巨大になりますが、38cm口径に機会を狙って変える思いはあります。
https://www.fostex.jp/products/fe206nv/

青柿からとった柿渋の液は、さらさらした赤茶色の殺菌作用がある塗料です。塗ったコーン紙に染みこんで、紙の繊維を強化する作用があります。

1）塗料として軽いこと、2）乾くとき化学変化して硬くなり皮膜が薄いこと、3）自然素材の塗料であること、が選んだ理由です。

（1）まずコーン紙の裏に、5回塗り重ねます。注意点は、3時間くらい経って完全に乾いたあと重ねることです。

過去の、様々で大量の経験から、生物が作った自然素材は音の素性がいい(吸音材も羽毛、絹の真綿、微細な穴が音を熱に変える備長炭）。ニスでは、ラックカイガラ虫が分泌した樹脂のセラックニスや、木からとった漆です(両方とも乾くととても固い）。セラックニスはバイオリンやギターの塗装に使われます。

生漆をでヒドくかぶれたことあるので怖い。皮膚科に行きましたが、両脚が腿まで赤く腫れ、医師が｢一体、何をしたんですか？｣と驚いていたくらいの劇症でした。痛く痒く、寝るときベッドでウンウンと唸ったのです。柿渋ではいくら触ってもアレルギーは出ません。

刷毛は100円ショップのダイソーで10本買っても安い。浅い皿に注ぎ、数時間、水分を蒸発させたあと、適度な粘性が出たとき塗ると、うまく塗ることができます。適度とは、試行錯誤した結果です。10台くらいのユニットに柿渋を塗った経験からです。厚く塗りすぎると、乾いたときコーン紙が歪みます。柿渋は、乾くと収縮して固くなります。10本ともコーン紙の改造では成功しました。

（2）次に、FE206NVのコーン紙の表面には、｢ダイアモンド粉＋柿渋塗料＋水性アクリルの透明塗料の混合物｣を3回塗りました。
ダイアモンド粉は、キラキラした音が出るだろうという｢おまじない｣です。分割振動をダイアモンド粒子と硬くなる水性アクリルで抑えるためです。

出る音にどんな効果があるか予想では分からなかった。この3種混合塗料は、漆喰の土色になります。水性アクリルの透明塗料は、ダイアモンド粒子をつなぐ連結硬化剤です。よく混ぜて混合し、あせらず、丸1日をかけゆっくり塗ることがコツです。

ダイアモンド粉は中国（アリババ）で3000円くらいでした。日本ではアマゾンで7270円。研磨剤の用途のダイアモンド粉です。スピーカーコーンに塗ったのは、たぶん私だけでしょう。

鳴らした結果は成功（！）でした。狙いの、腰があって強く太い、しかも切れのいい音です。

1）音にシンが通り、2）音像が太くなって、3）しかし繊細に透明で、4）切れとヌケがよく、5）微少音に強いという相反する5つの要素がバランスするとき、スピーカーの改造は成功です。ダイアモンド粒子は効果がありました。

ピアノ、チェロ、バイオリオン、澄んだボーカルは、元のFE203NVと別の次元でしょう。目をつぶり、再生音であることを忘れるころ、楽器と顔が目の前に現れて、ドキリとします。

これが録音された生音だったか・・・という感じ。クラシックなジャズでは、演奏会場の迫真。客席のワイングラスの音やしわぶきの微少環境音も、その場にいるかようにようにリアルに聞こえます。音像と音場が出ています。

ちょうど今、バッハの最高傑作と思えるパルティータの2番(15分）と6番(23分）をかけています。ピアノの演奏はグレン・グールド。美しい知性は、どこまでいくのかという感じ。

1956年の演奏との記録があるので、68年前のアナログ時代（真空管の時代）の録音です。現代のデジタル録音に、ひけをとりません。改造スピーカーの成功のためか。以前は聞きづらかったのが、この演奏でした。

300年前のバッハの、楽譜にこめた感情の美への考えと、68年前のグールドの透徹した演奏がよみがえる。真（reality)はグールドが大切に伝えた完全な細部に宿る。自然は分割できない細部でしょう。能率の低いスピーカーユニットでは、マスクされて消える部分です。

バッハとグールドが大切にした音への思想を、部屋に蘇らせるオーディオは、素晴らしいタイムマシンに違いない。音楽は文化を超える共通言語です。

▼（2）DAコンバータをリチウム5Vの電池の電源にし、アンプ類とスピーカー類は宙釣りにする。

メロンを、よく切れるナイフでカットしたときのような音のみずみずしさと匂いを、この部屋で再現するには、どうするか。

1）電源部：200Vの三相電源を引き、トランスで100Vに落しアンプに供給する。テーブルタップと、コンセントの周囲、プリアンプには｢水晶サザレ石｣を充填し高周波を吸収する、炭を砕いた砕片を満たした薄い箱を作って天板にのせる。

アンプ間とスピーカー間の全部のコードは、1mmの銀メッキの単線を二本撚った自作コードにし、空中の高周波を吸収する備長炭シートで覆う。たくさんの接続端子は、純銅の金メッキです。

部屋に充満する高周波ノイズ（ラジオ波）を混入させないためです。音のエグミがなくなって、純水のようになる。携帯、WiFi、地上波のTVが見える地域は、実際、高周波の電波だらけです。現代のわれわれは、高周波のノイズのお風呂で暮らしています。

2）微細なデジタル信号を、アナログ変換するD/Aコンバータは、リチュウムイオンの5V電池で駆動する。多く使われているスイッチング電源には、直流に変換するとき、不規則な高周波ノイズが入るからです。

3）DCコンバータと、チャンネル・デバイダ（高音、中音、低音のクロスオーバー分離機）、3台のプリアンプは、それぞれ別々に、強い釣り糸で宙吊りにする。

スピーカーの音圧で来るオーディオラックの振動を、アンプに伝えたないためです。釣り糸の、ほどけない結び方も勉強しました。
左右の高さが1mmでも違うと、傾いて違和感があります。
左右を水平に揃えるのはなかなか難しい。釣り糸は、5Kgから10Kgの重さでは相当に伸びるからです。

伸縮性のあるテグスで吊るさないと、ピアノの鋼鉄の弦のようにフレームに振動が伝わって、ダメになります。鉄を叩くと音がするのは振動が伝播するからです。鉛は、叩いても音は小さい。鉛は振動を吸収し音を伝えにくい素材です。

〔結果〕ほとんど誰もやっていない工夫の積み重ねで、音がスピーカーからではなく、空中から聞こえるように変わりました。

高周波のノイズと、余計なアンプの振動が極小になったからです。アンプ類も、振動すると微妙ですが音を発しています。・・・量子コンピュータにははるかに及びませんが・・・。

▼（3）6台の、高音ホーンと、中音の柿渋＆ダイアモンド粉をコーン紙に塗ったスピーカーも、ヌメ革のベルト状の革板を使って宙に吊る。インシュレーターとの間に空気をはさんで、音圧での振動を分離させる。高音2つ、中音4つの6台は、それぞれが10Kg以上と重く、大変でした。

3回は試行錯誤しました。A3のレザークラフト用のヌメ革を買ってリボン状に正確にカッターで切ったのです。3mm厚の牛革(無塗装）を使ったのは、振動を吸収する弾力性が必要なためです。

工作のコツは、ナイフを理容店のカミソリのように革砥石でこすって研ぐこと。木材も、鉛筆のようにサクサク削ることができます。刺身の味、切ったミカンやリンゴの味も、細胞を壊さずカットする包丁の切れ味がポイントです。

この工夫は、アンプを吊ったときより効果が大きかった。
宙に、楽器と歌う人の表情が見え、そこから音が出る。

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オーディオでは、最初の小さな信号音を、あとの増幅アンプ(回路）でよくすることはできない。音の情報の増幅と伝達の途中で、音を劣化させ、悪くする要素と混入するノイズを可能な限り減らしていくことである・・・これが、総合的な経験知のエッセンスです。
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【オーディオへの信念のアナロジーから】
FRBのFOMCの会議を終えたパウエル議長の記者会見（昨夜早朝）と、今日の植田総裁の会見は、市場の金融への、政治的な意図のあるノイズ情報です。

中央銀行の金融政策は、政治的なものです。
金融への政治の介入です。

経済学では市場の失敗のとき、通貨の増発や引き締めと金利の誘導に介入するところに、中央銀行の存在価値があるとされています。

◎しかし・・・本当のことを言えば、｢信用通貨の無限発行の機能をもつ中央銀行がインフレ、デフレ、資産バブルとその崩壊を作っている｣のです。

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19世紀末からの世界の中央銀行は、無用な機関でしょう。
人知と人工は、どんなに巧緻でも、｢市場の自然｣には至れないからです。政治的な金融政策の直線は、複雑系の金融が作る自然の曲線とボラティリティに負けます。
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トランプは、連邦のものであるFRB無用論を受けて、2026年からの米国のデジタル通貨（CBDC）はFRB（連邦準備銀行）には発行させないと言っています。独自の法と最高裁をもつ、州の銀行と政府が発行するという。

これを受けたのか、全米1位の投資銀行であるゴールドマンサックスは、テキサス州のダラスに｢近い未来の本社(14階建て）｣を建造中です。ウォール街からの移転の準備以外ではないでしょう。

◎ファンドの最大手、資金量が1500兆円のブラックロックのCEO(ローレンス・フィンク：過去は民主党派）もトランプ支持を明らかにしました。有罪判決を契機に、なぜか、トランプ支持が雪崩をうっています。

【連邦国家のEUと米国：崩壊したソ連も連邦国でした】
USA（United States of America:50州の連合国）は州が同盟して作った連邦国です。連合した27の国家が、独自の法と大統領をもつEUと同じです。国は1つと思い込んでいる日本では、連邦国が理解できない。

ドイツ国は、EUとNATO軍ではない。ウクラナ戦争を契機に、このEUとNATOは分裂の気配。それを示すものが、フランス、イタリア、そしてEUの連邦議会でのウクライナ戦争に反対する右派の台頭です。2022年からトランプと共和党が台頭した米国と同じです。

EUと同じように、テキサス州は米国連邦（ワシントン政府）ではない。ウクライナ戦争のあとの米国とEUは類似した動きをしています。

過去、通貨発行権を奪うことを表で言った大統領（リンカーンとケネディ）に対しては、真犯人が不明の｢不測の事態｣が起こったのですが・・・今回は大丈夫か？

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3.疑問な点は、ありますか？
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