□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2018月1月11日第36号 ■ ============================================================== 外交の神髄を見る南北協議に発せられる言葉の数々 ============================================================== 南北協議の行方がどのようなものになろうとも、いま我々が目撃しているのは韓国と北朝鮮が主役の、外交のせめぎ合い、そのものだ。 そして外交は、武器を使わない、言葉のやりとりによる真剣勝負だ。 外交に携わってきた者にとっては、ぞくぞくする。 たとえば、北朝鮮の代表が発した、我々の武器は韓国ではなく米国に向けられたものだ、という言葉だ。 私が金正恩だったら、さらに踏み込んで、北朝鮮の核は韓国と共有しても良い、というところまで踏み込むだろう。 ここまで言われたら、韓国は北朝鮮が脅威だとは言えないはずだ。 そして、北朝鮮代表の発した次の言葉だ。 南北問題は、わが民族同士で解決すると世界に宣言した。 同一民族という言葉は、他国を寄せつけない迫力がある。 米国も中国も関与できない強さがある。 一方の文在寅大統領は、南北首脳会談の用意がある、と言って呼応した。 私が注目したのは、きのう1月10日に行われた記者会見冒頭の文在寅大統領の言葉だ。 「朝鮮半島で戦争は二度とあってはならない。われわれの外交と国防の究極の目標は朝鮮半島での戦争再発を防ぐことだ」 この言葉こそ、北朝鮮危機を回避する最強、最善の戦略だ。 さすがのトランプ大統領も、協議の成功を100%支持すると言い出し、米朝協議までほのめかすようになった。 もちろん南北対話や米朝協議の帰趨は不透明だ。 北朝鮮が核兵器を放棄することはなく、米国が北朝鮮の核を容認することはない。 しかし、それさえも外交上の駆け引きだ。 情勢がどう展開するかは、誰もわからない。 トランプ大統領はペンス副大統領を平昌五輪に出席させるらしい。 習近平やプーチンが出席すればもとより、それに代わる誰かが出席しても、平昌五輪外交が繰り広げられることになる。 そんな中で、圧力強化と、分断作戦しか語る言葉はなく、はやばやと平昌五輪不参加を決め込む安倍首相の日本は、もはや梯子を外される前に、みずから孤立するオウンゴールをおかしているも同然だ。 これ以上の外交不在、外交失策はない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)