□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年4月1日第275号 ■ ============================================================== 中国企業に港湾施設した豪州とそれに不快感を示した米国 ============================================================== 中国包囲網が当たり前のように報じられている中で、きょう4月1日の産経新聞が一面トップで大スクープを掲載してくれた。 すなわち、南シナ海をにらんで米海兵隊が駐留する豪州北部ダーウィンで、米海兵隊が駐留している場所にほど近い港湾を、中国企業(嵐橋集団)と豪州北部準州が99年間の賃貸契約を昨年10月に締結していたというのだ。 この問題を巡って、米国と豪州の同盟関係が冷え込んでいるというのだ。 こんな事があったとは全く知らなかった。 この中国企業は中国軍とのつながりがささやかれ、3月20日の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「中国は米と豪の海軍活動をスパイする最前列を購入した」という専門家の見方を報じたというが、この企業ならずとも、およそ中国の企業で中国政府の影響下にない企業など存在しない。 豪紙オーストラリアン紙は3月上旬、米国務省がこの問題で極秘調査を豪国内で実施していた事を報じ、その結果、港湾貸し出しについてはリスクがあると答えた豪州世論は、大いにある(43%)、多少ある(46%)を加え9割近くに上った事を報じたという。 豪州世論ならずとも、誰もがそう思うだろう。 しかし、私がこの産経新聞のスクープ記事で驚いたのは、それでも豪州政府はこの契約を是認しているところだ。 すなわち、昨年11月にオバマ大統領がターンブル豪首相と会談した時、「中国との契約は事前に相談してほしい」と釘をさしたにもかかわらず、ターンブル豪首相は「安全保障上の問題はない」、「(契約の事は)新聞を読んでいればわかった情報だ」と突っぱね、その後も豪州政府は、経済効果を主張した、態度を変えていないと書かれていたことだ。 おなじく米国との同盟関係を重視する日本が、せっかく手に入れたイランのアザデガン油田を米国に一喝され、たちまち手放した事とは雲泥の差だ。 だからといってオバマの米国が豪州を同盟国から外すかといえばそんな事はない。 そんな事は出来ない。 産経新聞のその記事はこう締めくくっている。 ターンブル首相は昨年9月、親日派と喧伝されたアボット前首相を党内クーデターで引きずり下ろした人物だ、と。 なるほど、首相が変われば外交政策もここまで変わるのである。 この産経新聞の大スクープ記事は、皮肉にも安倍首相の対米従属さを浮き彫りにしてくれた。 二つの意味で貴重な産経新聞のスクーㇷ゚記事である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)