□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年1月7日第17号 ■ ============================================================== 日韓合意に韓国世論が反発しない理由がわかった ============================================================== きのうの日刊ゲンダイ(1月7日号)が書いていた。 日韓合意は破談必至だと。 いや、そうではない。 日韓合意は既に破談している。 というよりも、そもそも合意などなかったのだ。 きのう1月6日の自民党外交部会で稲田政調会長が言ったらしい。 10億円の日本政府予算の拠出は、日本大使館前の少女像撤去が前提だと。 安倍首相の側近で日本政府の政調会長がそう言ったのである。 その一方で、韓国外務省は1月4日、こう発表した(1月6日東京) 少女像は民間団体が自発的に設置したもので、政府がどうこう出来る事案ではない、と。 これは明らかな立場の違いだ。 昨年12月28日に発表された不可逆合意は存在しなかったということだ。 さもなければその後の事情で不可逆合意が逆行したということだ。 しかし、私がここで書きたい事はその事ではない。 韓国の元慰安婦たちの反発に比べ、韓国世論の反対が意外なほど少なかった事についてである。 反対の意見が半数以上だったが、評価する意見も半分近くあった。 なぜだろう。 そう思っていたらやっとその答えを見つけた。 きょう1月7日の産経新聞「ソウルからヨボセヨ」というコラムで藤本欣也特派員が書いている。 合意を伝えた昨年末の日本と韓国の主要紙の報道ぶりが対照的だったと。 すなわち、日本の各紙には「合意」、「決着」の文字が躍り、判で押したように両国外相の握手の写真を掲げた。 しかし、韓国紙は見出しに「合意」という文字がなかった。 代わりに目についたのが岸田外相が尹外相に頭を下げているように見える写真ばかりだったと。 これは尹外相の背後にあった韓国国旗に岸田外相が一礼した瞬間をとらえたものだったと。 ニュース性のないこの儀礼的行為をあたかも意味があるように報道した韓国紙の情報操作があったというのだ。 なるほど。 韓国の世論で評価する見方が多いのも頷ける。 産経新聞は、このような韓国側の情報操作を怒って見せる。 しかし、そもそもの原因は、このような情報操作ができる曖昧決着をした日韓両政府にこそあるのだ。 藤本記者が書くべきはそのことである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)