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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

日銀新体制スタート、円安100円台目前! 「お金」とはなにか?を考える

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━          山田順の「週刊:未来地図」    No.029 2013/03/26     日銀新体制スタート、円安100円台目前!「お金」とはなにか?を考える ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  黒田東彦・総裁による日本銀行の新体制がスタートし、アベノミクスは第二局面に入りました。今後、円はさらに刷られ、市場にはお金があふれます。  そこで、今回は、「お金とはなにか?」について、一から考え直してみたいと思います。私たちは「お金」と言うと、「1千円札」や「1万円札」を思い浮かべますが、それは本当にお金なのでしょうか? [目次]────────────────────────────────── ■「無期限金融緩和」宣言で「1ドル100円」は目前 ■円はお金ではない。お金とはドルのこと ■「お金を稼ぐ」ということをイメージすると? ■円も国際通貨だが、ドルは国際通貨であり基軸通貨である ■アメリカに代わる世界覇権国は出現していない ■世界の投資家はいまもほとんど資産をドル建てで持つ ■自国の通貨よりドルのほうを喜んで受け取る国 ■「貯金はドルで」が世界の多くの国では常識 ■「お金」=「貨幣」が持つ三つの機能 ■「兌換紙幣」と「不換紙幣」の違いとはなにか? ■「金本位制」は紙幣をお金とするためのシステム ■ニクソンショックでドルも紙切れになったが…… ■いまのドルは「石油本位制」に支えられている ■日本は本当に借金(国債)を返せるのだろうか? ────────────────────────────────────── ■「無期限金融緩和」宣言で「1ドル100円」は目前  株高、円安が続いている。黒田東彦・日銀新総裁は、物価上昇率2%の目標について「2年をめどに達成する」と、就任会見で宣言。さらに、「目標達成に向け、量的、質的にさらに大胆な緩和を進める」と続けた。  次の金融政策決定会合は4月3日か4日。ここで、来年から始める予定の「無期限の金融緩和」の前倒しや、投資信託などさまざまな金融資産の買い増しなどの追加緩和を打ち出されることが確実となった。  となると、円安はさらに続く。金融緩和とは「お金を刷り続ける」ということなので、夏を待たずに1ドル100円になるだろう。  とはいえ、ついこの前まで1ドルは100円以上だった。リーマンショック後の数年間、超円高が続いただけだ。だから、1ドルが100円に逆戻りしようと、いまの私にとってはまったく違和感はない。むしろ、1ドル100円に固定してもらったほうが、計算しやすくて助かるなんて思う。  ただし、こう思うのは、私が現在日本で暮らし、最近はドルを使う生活をあまりしていないからだ。かつて娘がアメリカにいたときは、当然だが円高を望んでいた。娘が大学に入学した後の2002年は1ドルが135円だったから、4万ドルの学費を送ると500万円を超えた。ところが、昨年の超円高は1ドル76円だったから、4万ドルは約300万円である。  この差は大きすぎる。円を持つかドルを持つかで、ここまで価値が変動すると、生活にも大きく影響する。 ■円はお金ではない。お金とはドルのこと  ただし、たいていの日本人は、為替がいくら動こうと、あまりピンとこないと思う。海外投資をしていなければ、一般の日本人にとっての円高や円安は、生活にそれほど影響しない。輸入製品の値段の変動、海外旅行費用の変動などで、「高くなった」「安くなった」と感じる程度だろう。  日本国内で日常生活を円でしているかぎり、対ドルレートがいくらになろうと、手持ちのお金(=円)は同じだからだ。  しかし、だからこそ私は、あえてこう聞きたい。「あなたは、お金と言ったとき、なにを思い浮かべますか?」 と。おそらく、ほとんどの人が「千円札」や「1万円札」を頭にイメージするだろう。  ところが、ズバリ言わせてもらうが、「千円札」や「1万円札」はお金ではない。 確かにお金かもしれないが、それは日本人にとってだけのことで、アメリカ人にとってはお金ではない。アメリカ人にかぎらず、日本人以外の世界中の人間にとって、お金とは円ではないのだ。  この単純なことを、私が知識ではなく、はっきりと感覚的に身につけたのは30代になってからだった。  30代になって、娘と家内が夏の間ハワイで暮らすようになり、ドル(USD)を日常的に使うようになって初めて、私は円(JPY)がお金ではないと知った。ハワイでは、一部の店で円が使える。しかし、メインランドでは、円はドルに両替しなければ使えない。  ということは、千円札や1万円札がお金なのは、日本国内だけのことで、日本を一歩出れば、それは単になる数字と絵が印刷された紙切れにすぎないのだ。 ■「お金を稼ぐ」ということをイメージすると?    現在は、グローバル資本主義の時代である。とすると、私たちに必要なのは、ある一国でしか使えないお金ではなく、世界どこにいっても使えるお金である。しかし、そんな世界共通通貨は存在しない。となると、お金と呼べるのは、現在のところドルだけである。  当たり前だが、お金がなければなにもできない。モノも買えないし、サービスも受けられない。となると、世界どこでもモノが買えてサービスを受けられるのは、いまのところドルだけなのだ。
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