━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/07/15 「ダメなものはダメ」を貫かねば変化は生まれない 第286号 ──────────────────────────────────── 審議会の手法というものがある。 審議会で議論をしたように見せかけて、実は、事務局が用意した原案をそのま ま承認させるというものだ。 このとき審議会は何の役割を持つか。 事務局が用意した原案を実行する「正統性」の根拠を確保することがその狙い だ。 しかし、よく考えてみると、この手法は本末転倒であることがわかる。 そもそも建て前としての審議会とは、各界の有識者が集まり、知識、見識、良 識を出し合って、優れた提案を創出することが本来の狙いだ。 事務局は、自分たちでは最高の提案をすることができないから、各界の有識者 に検討を依頼する。審議会は、審議会としてのベストな案を創出することを本 来は求められているはずだ。 しかし、現実は違う。 役所という事務局が初めから結論を持っており、この原案を審議会を使って承 認させるのである。 これが審議会の現実である。 「政治主導」、「国民主導」という言葉がよく使われる。 どのような現実を前提に置いてこの言葉が使われているのか。 それは言うまでもない。 「官僚主導」に対して「政治主導」、「国民主導」が叫ばれている。 日本の政治が、制度的には国民主権、議会制民主主義を基本に置いているとさ れながら、現実には官僚に主導権があり、官僚がすべてを決めてしまう「官僚 主権」の構造にあることが問題とされている。 この官僚主導、官僚主権構造の淵源は古い。 明治維新で明治政府は「太政官制(だじょうかん)」と呼ばれる政体を創設し… … …(記事全文4,652文字)
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植草一秀(政治経済学者)