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メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」

植草一秀(政治経済学者)

植草一秀

第229号 検察が身内の超巨大犯罪を闇に葬る代償

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/05/16    検察が身内の超巨大犯罪を闇に葬る代償                第229号 ────────────────────────────────────  2004年10月に代金決済し、2005年1月に登記が完了した世田谷不 動産についての報告を2005年に行ったこと、不動産取得の資金を銀行から 借り入れる際に、担保として設定した定期預金の原資として預かった4億円の 出入りを収支報告書に記載しなかったことで、小沢一郎民主党元代表の元秘書 が逮捕起訴された(陸山会事件)。    上記の事件内容を見る限り、どこが刑事事件なのかというのが客観的な正し い評価である。    裁判で法廷に立った弥永真生筑波大教授(商事法)は、 「資産取得と支出の記載時期は同一年分であることが望ましい」から「(土地 取得の)計上時期は登記時を基準とすべき」と指摘し、「期ずれ」に違法性は ない との見解を証言した。    弥永真生氏は東京大学在学中に司法試験、公認会計士3次試験に合格し、東 大法学部第1類を首席で卒業した俊英であり、会計学の専門家であるだけでな く、司法試験考査委員を務めたこともある法律の専門家でもある。    この弥永氏が2004年10月に代金決済し、2005年に登記が完了した 不動産取得の届け出は、登記年である2005年とすることが望ましいと法廷 で証言したのである。    また、定期預金原資である4億円の出入を記載しなかったのは、単なる「預 かり金」であるとの解釈によるものであり、刑事責任を問うような事案ではな い。        小沢氏の元秘書は、新政治問題研究会と未来産業研究会という二つの政治団 体からの献金を事実通りに記載して、虚偽記載の罪を問われた。    資金の本源的な拠出者が西松建設だと見なす検察は、「西松建設」の名を収 支報告書に記載すべきだったと主張する。ところが、まったく同じ事務処理を 行った20名近くの国会議員については、無罪放免にしており、明白な「法の 下の平等」違反の行為が示されている。    2009年3月以降、3年以上にわたってマスメディアが騒ぎ続けてきた一 連の刑事事案は、およそ刑事事案とはかけ離れたものであった。    歩道を歩いているときに、つい二、三歩、私有地に足を踏み入れてしまうこ とがあるだろう。それを、「不法侵入」だと大騒ぎしているに等しい。  
… … …(記事全文6,399文字)
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