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メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」

植草一秀(政治経済学者)

植草一秀

第175号 小沢一郎民主党元代表が無罪である理由

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/03/23    小沢一郎民主党元代表が無罪である理由                第175号 ────────────────────────────────────  刑事裁判というのは、犯罪の嫌疑について、被告が罪を犯したかどうかを推 理する場ではない。    被告が罪を犯したことを疑いの余地なく立証し、有罪判決を示してその罪を 贖わせることを決定するものである。    裁判官が自分の心証で被告が犯人であるかどうかを推理するものではないの だ。    犯人であることが確実であり、疑いの余地のないときだけ、有罪の判決が示 され、刑罰が言い渡される。    したがって、罪を犯していないのに、有罪の判決を受けることは100%あ り得ない。    罪を犯した場合であっても、犯罪が立証されなければ有罪にならない。した がって、罪を犯した、有実であるが、無罪になることは発生し得る。    これが、「無辜の不処罰」という鉄則である。   「無辜の不処罰」というのは、   「10人の真犯人を逃しても、1人の無辜を処罰するなかれ」   というもので、たとえ10人の真犯人を逃すことがあっても、一人でも無実の 人間を犯罪者としてはならない、という考え方だ。    これが、刑事裁判の鉄則なのだ。        しかし、日本では、この鉄則がまったく守られていない。    裁判官自身が大きな勘違いをしている。    あるいは、裁判官が、何らかの特命を帯びて、この原則から外れた行動を意 図的に取っている。    自由心証主義という概念を勝手に拡大解釈して、自分がそうだと感じれば、 それを事実と認定して構わないと考えてしまっているとも思われる。   「無辜の不処罰」を実現するためには、有罪の立証に対して、合理的な疑いを 差し挟む余地がある場合には、これを「無罪」としなければならない。
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