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メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」

植草一秀(政治経済学者)

植草一秀

第59号 国民無視のメディア・政府に大阪から反乱の狼煙

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/11/28  国民無視のメディア・政府に大阪から反乱の狼煙                第59号  ────────────────────────────────────  大阪で実施された府知事と市長のダブル選挙で、前大阪府知事の橋下徹氏が 率いる大阪維新の会が圧勝した。    橋下氏は大阪府と大阪市の二重行政の問題を取り上げ、大阪都構想を提示し、 府知事を辞職して大阪市長選に立候補して大勝した。橋下氏の辞任により、大 阪府知事選挙も同日に実施されることになり、橋本氏が率いる大阪維新の会か ら出馬した松井一郎氏が圧勝した。    今回の選挙結果は、既成政党に対する主権者国民の批判を大阪維新の会が巧 みに吸収した結果であると言える。国政では2009年8月に政権交代が実現 したが、政権交代時の方針を掲げる政権はわずか8ヵ月で総辞職に追い込まれ、 その後に樹立された政権は菅直人政権も野田佳彦政権も、2009年8月総選 挙マニフェストを否定する政権運営を行っている。    菅政権や野田政権の基本的特徴は、政治運営の全体が、政権交代以前の自公 政権時代に逆戻りしている点にあり、旧政復古政権と表現することができる。 この旧政復古政権が発足して以来、民主党はほとんどすべての国政選挙、地方 選挙で惨敗を続けており、主権者である国民は現政権を信任していないことが 明白に示されている。        大阪で大阪維新の会の圧勝は、橋下氏の主張に理があると大阪府民が捉えた ことの反映でもあるが、同時に、主権者国民の意思を踏みにじり、暴走を続け る現政権および既存政党に対する、主権者国民がついに反転攻勢をかける怒り の狼煙をあげたものであるとも理解できる。    TPPや消費税などの問題は、日本の根幹を左右する重大案件である。どち らに進むにせよ、何よりも大事なことは、主権者である国民の意思を尊重する ことだ。現代政治は国民が直接関与してものごとを決めるのではないから、主 権者国民は正当な選挙を通じて選ばれた国会議員を通じて行動することになる。    TPPにせよ、消費税にせよ、主権者国民の意思を尊重するということは、 国会議員の主張を尊重するということである。TPPでは、民主党内にプロジ ェクトチームが編成され、プロジェクトチームは反対意見が多数を占めたこと、 そのことを重視して慎重に判断することを提言した。    ところが、野田佳彦氏はこの提言を無視する形で、TPP交渉への参加意向 を国際会議の場で表明した。しかも、国民に対しては、交渉参加への具体的な 最初のステップが関係国との協議であることを明言せずに、野田氏が、あたか もTPP交渉への参加意思表明とは異なる決断をしたかのような偽装を施して 説明したのである。卑屈で卑怯で卑劣な行動と言わざるを得ない。
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