□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年7月29日第580号 ■ ============================================================= 中国の治安当局に拘束されたとする邦人は私の知人である ============================================================= またしても邦人がスパイ容疑で中国の治安当局に拘束された。 しかし、今度ばかりは他人ごとではなかった。 これを報じるきょう7月29日の各紙の中で、一番詳しく、正確に報じていたのは産経だ。 北京発矢板明夫記者の記事として要旨次のように書いている。 「・・・日本と中国の青年交流を推進する団体の男性役員が、渡航先の北京で中国の治安当局に拘束され『スパイ行為』に関わった可能性があるとして取り調べを受けている事が判明し、北京の日本人社会に大きな波紋を広げている。男性をよく知る日本人駐在員は、『彼は長年、日中友好事業を熱心にやっており、とても中国に害を及ぼすような人間には見えない』と驚きを隠せなかった。 労働組合幹部や国会議員の秘書の経験を持つ(その)男性は、『村山談話を継承し発展させる会』の訪中団とともに行動するなど、日本で親中派とされる人物だ・・・男性にかけられた具体的な容疑は不明だが、一部の関係者の間で、『中国共産党内の権力闘争と関係しているのでは』との見方も浮上している。 男性が所属する団体は、中国共産党の下部組織、共産主義青年団(共青団)と友好関係にあり、その支援を受けて中国の各地に植林活動を行ってきた。男性は歴代青年団の幹部らとも親交があった。現在、胡錦濤前国家主席の出身母体である共青団系グループと、習近平国家主席が率いる太子党(元高級幹部子弟)が激しい主導権争いを展開している。男性は党内の争いに巻き込まれた可能性も否定できない・・・」 名前こそ特定されていないが、これは極めて正確な記事だ。 ここまで産経が書いたから私も書くが、この邦人は私の知人である。 「村山談話を継承し、発展させる会」の一員として訪中した時に知り合った仲だ。 外務省を辞めてまったくの私人となった私にとって、しかも反権力の私人になった私にとって、中国政府との関係をつないでくれる役割を果たしてくれた貴重な存在が彼だった。 少なくとも中国外務省との関係は良く、信頼できるものがあった。 彼のおかげで北京の中国外務省とも、在京中国大使館とも関係をつくることができた。 中旬には帰国するので、帰ってきたら南シナ海をめぐる日中関係について意見交換しようと話し合っていた。 ところが、帰国したら連絡をすると言っていた彼が、いつまでたっても連絡してこない。 約束を違うようないい加減な人物ではなかったので不安を感じていた矢先の邦人スパイ容疑拘束のニュースだ。 このニュースを聞いて直感的に彼の事が頭に浮かんだ。 しかし日中関係のために尽くしていた彼がスパイ容疑でつかまるはずがないと、思って私は思い直していた。 その矢先のこの産経新聞のニュースだ。 その後、「村山談話を継承し、発展させる会」の事務局に確認したらやはり彼だったことが確認された。 そして中国の外務省や駐日中国大使館は何も知らされていない事も知った。 共産党の権力争いに巻き込まれたとしたら厄介だ。 我々には何も出来ない。 もちろん安倍政権の対中政策に批判的な彼の為に安倍政権が動くはずはない。 彼の無実が証明され、一日も早く帰国できる事を願うばかりだ。 酒を酌み交わしながら、ひどいめにあったとその時の体験談を笑って語る彼を想像するしか今の私にはなす術はない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)