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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 枝野発言の深刻さと護憲政党の不甲斐なさ
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年10月4日発行第127号 ■       ===============================================================             枝野発言の深刻さと護憲政党の不甲斐なさ      ===============================================================  メルマガを書いた後で一日置いて配信する時がある。その後の情勢を見極め て、自分の正しさを確認したいと思う時だ。  今日のメルマガもそのひとつである。自分の正しさを確信して配信すること にした。  枝野幸男幹事長代理が2日、埼玉の講演の場で中国の事を「悪しき隣人」、 「法治主義の通らない国」と発言した。それを各紙が小さく取り上げた。  「中国との戦略的互恵関係なんてありえない」と言った、と。  「法治国家の通用しない国と経済的パートナーシップを組む企業は、よほどの お人よしだ」と言った、と。  その発言の問題性を記者団から聞かれて反論した言葉が、「あなたは中国を よい隣人だと思うか」という開き直りの言葉だったという。  この事を知った私は心底驚いた。  我々一般国民がどのように中国を非難しようが勝手だ。  政治家が心の中でどのように中国を思おうが自由だ。  それを仲間うちで語ってもいいだろう。それを聞いた者が誰かに口外して いずればれるが、言い逃れはいくらでもできる。  しかし枝野氏は皆が聞いている公開の場でこう話したのだ。  枝野氏はただの政治家ではない。もちろん一般市民ではない。  時の政権の幹事長代理だ。ついこの前までは幹事長、閣僚をやっていた 菅・仙谷民主党政権の主要政治家だ。  その政治家が中国政府をここまで悪し様に言ったのである。 「戦略的互恵関係」という日中関係の基本方針は、自民党福田政権下の 2008年5月に胡錦涛国家主席との間で合意した大原則である。  それを政権交代後の民主党政権が引き継ぎ、今度の漁船衝突事件後も、日中 関係打開の鍵として民主党政権が繰り返し使ってきた言葉だ。  それを枝野氏は公開の場で『ありえない』と一蹴したのだ。  これほどの暴言が大問題にならないはずはないと私は思った。  メディアは一斉に取り上げるだろうと思った。  菅首相はなんらかの対応に迫られると思った。  野党は徹底追及すると思った。  ところが、である。  この発言の重大性、深刻性をまともに取り上げる動きはどこからも起こ らない。  何といっても社民党や共産党が政治の場で追及しようとしない。それどころ かまったく反応を示さない。  社民党や共産党は護憲政党でありながら目の前で大合唱されている「中国撃 つべし」の声に反発しない。中国漁船問題に沈黙したままだ。  こんな事は今までの日本ではありえなかった事だ。  中国は今のところ何の反応を示していない。  中国が戦略に長けた国であればこれからも何も言わないだろう。  それを中国が軟化した兆しだと勝手に解釈するのは愚かな事だ。  中国にとってはこの問題はとっくに終わっている。  目的を十分に果たし、すでに中国の関心は他にも山ほどある国益追求の 外交に向かっている。  いつまでもこの問題で独り相撲している日本とは雲泥の差だ。  しかし見ているがいい。中国政府や国民がこの発言を見逃すはずはない。  たとえ表面的には何の反応を示さなかったとしても、中国政府はもはや 菅民主党政権を見放しているに違いない。まともに相手にしない。  日本の今の政治状況を見ていると菅民主党政権がすぐに倒れるという感じ はまったくしない。  そういう気力さえ今の日本には失われてしまったかのようだ。  外交に限らずすべての分野でまともな政策決断ができないまま、さりとて 決定的な政治局面が訪れないまま、ズルズルと菅・仙谷政権が続いていく ような気がする。  その間にどんどんと国民生活が悪化していく。国益が失われていく。    菅・仙谷民主党政権は戦後の政治史に語り継がれる最悪の政権となるだろう。                                                                                                            了                                                           おしらせ                         1.日経ビジネスオンラインの記事  9月29日に私の「新防衛計画の大綱私案」が掲載され反響を呼んでいます。  オンラインはこちらでお読みいただけます。  http://business.nikkeibp.co.jp/  2.ベンジャミン・フルフォードと天木直人の共同講演会のお知らせ                   記 テーマ:民主党政権に任せたら日本はどうなる?今すぐ日本を良くする処方箋 (構成: 天木直人講演、ベンジャミン・フルフォード講演、ベンジャミンVS 天木氏による対談、質疑応答) 日時: 2010年10月9日(土) 14:00~17:00(受付は13時 半から) 場所: 千駄ヶ谷区民会館 2F (東京都渋谷区神宮前1-1-10) アクセス: JR山の手線 原宿駅「竹下口」 徒歩6分  費用:  3000円 (学生2000円) 申し込み方法: 氏名、連絡先 、参加人数、支払い方法(持参又は振込み)を 明記の上、     メール(benjaminoffice88@gmail.com)にてお申し込み下さい。 問い合わせ先: ベンジャミンフルフォード事務所 (benjaminoffice88@gmail.com) 3.軍事評論家 潮匡人氏(元航空自衛隊三等空佐)と討論会のおしらせ                 「憲法9条は諸悪の根源」が持論の潮氏と、「憲法9条こそ最強の安全 保障政策である」と主張する私が、対米従属からの自立について討論します。  埼玉青年商工会議所主催の催しですが先着30名ほどの一般参加を受け付け るということなのでご案内させていただきます。                  記                  討論会 日本の未来は若者の意識からー対米従属からの自立をどう考えるか      パネリスト 天木直人 元レバノン大使、 外交評論家            潮匡人  元航空自衛隊三等空佐 軍事評論家  日時 10月17日(日曜日) 15:00-16:50  場所 さいたま市民会館いわつき     http://www.saitama-culture.jp/iwatsuki/access.html  入場無料 お名前・連絡先をご記入の上、以下のメールアドレスまで事前に       お申込ください。                 saitama.bloc@gmail.com  お問合せ  公益社団法人日本青年会議所 埼玉ブロック協議会        組織連携推進委員会 担当宛         saitama.bloc@gmail.com                                                                 

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