□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年5月10日発行 第165号 ■ ───────────────────────────── 不戦時代になったー戦争はそう簡単には起こらない ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私は5月7日のメルマガ第160号で、たとえ韓国哨戒艦の爆破が北朝鮮の魚雷によるものであっても 韓国は北朝鮮を報復攻撃することは出来ない、と書いた。 それよりもなによりも、5月20日に発表されるという報告書では北朝鮮が爆破したという明確な断定 はされないだろう、振り上げたこぶしをおろせなくなるからだ、と書いた。 いまの国際情勢は、圧倒的な力の差がある場合でない限り、もはや国家間の全面戦争は起こりえない 不戦の時代に入ったのだ。その例外こそ「テロとの戦い」である、そういう趣旨の事を書いた。 これに対して、なぜそんな事が言えるのか、北朝鮮は現実の脅威ではないか、という批判の声が寄せられた。 それに対する私の答えを、今日(5月10日)の新聞で見つけた言葉を借りて書いてみる。 それはまた、抑止力の重要性に気づかなかった「浅はかさ」を認めた鳩山首相に対する批判でもあり、 近く出版する「さらば日米同盟」の私の主張点の一つでもある。 5月10日の東京新聞の社説「迷走 普天間の教え」の中で、次のようなエピソードが紹介されていた。 明治の末期に駐米大使館参事官として赴任していた幣原喜重郎元首相が、散歩中にジェームズ・ブライス 駐米英国大使の家を見つけ、紹介者なしで彼との会談を実現した時の話しだという。 ジャームズ・ブライス(1838-1922)とは、「地方自治は民主主義の学校」という名言を残した 英国の政治家、歴史家、法学者であるという。 当時はパナマ運河の開通間近のときであり、米上院が「米艦船の通行税は免除するが、外国船からは 通行税を取る」というパナマ国際条約に関する修正案を通過させた直後であった。 「外国船も米艦船と同一扱いするという従来の従来の条約からして不当だ」と米大統領らに修正案の阻止を つよく働きかけていたブライス大使であったから、幣原は当然ブライス大使が対米抗議を続けると思っていた。 ところが次のような意外な答えが返ってきたという。 「英国はどんな場合でも米国とは戦争をしないことを国是としています。抗議を続ければ結局戦争になります。 戦争をする腹がなくて抗議を続けるのは恥をかくばかりです。放っておきますよ。大局的見地を忘れてはなりません」 米国は後に、差別的通行税を撤廃し、幣原はブライスの大局観と先見性に「深く感得した」という。 そして東京新聞の社説は、このエピソードが外相時代の国際協調・軍縮路線や、戦後首相になってからの 「戦争放棄」や「天皇人間宣言」といった幣原政治の原点となったに違いない、と書いている。 私がここで言いたいのは、そのようなブライスと幣原のエピソードではない。 注目すべきはブライス大使の次の言葉である。 どんな場合でも(米国と)戦争をしない事を国是としている。 抗議を続ければ最後は戦争になる、戦争をする覚悟なくして抗議を続けることは恥をかくことになる。 やたらに脅威を口にし、書き立てる政府や官僚や自衛隊幹部やマスコミは、本気で中国や北朝鮮と戦争を する覚悟があるというのか。 米国が日本の米軍基地から中国、北朝鮮を攻撃する時に、その巻き添えになって甚大な被害を受ける愚を 覚悟しているというのか。 米国、イスラエルと一緒になってテロとの不正な戦いに参加し、平和な日本がテロに報復される危険を おかすのか。 なによりも、日本国民はそのような政府、官僚、自衛隊幹部、言論人の政策を支持するのか。 答えは明らかである。 馬鹿な事を言うな、為政者の馬鹿な真似を許すな、という事である。 _________ 天木直人のメールマガジン 2010年5月10日発行 第165号

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