… … …(記事全文1,962文字)ようやくプライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)目標の見直し議論が始まった。PBに関連し、
「PBを黒字化しなければ、政府債務対GDP比率が上昇する」
といった論調を頻繁に目にするようになったが、唐突感を覚えないだろうか。
上記の論調であれば、政府債務対GDP比率が上昇しないならば、PBを黒字化する必要は「無い」という話になってしまう。
さすがに、これ以上「PB黒字化至上主義」を貫くことは難しくなったのだろう。何しろ、そもそもPB黒字化目標は、黒字化自体が目的というわけではなく、あくまで、
「政府債務対GDP比率を引き下げるためには、PB黒字化が必要だ」
ということで、2001年に導入されたのである。100%に近い政治家や国民は、忘れてしまっているだろうが。
予め、強調しておくが、変動為替相場制の独自通貨国で、国債が100%自国通貨建ての日本にとって、政府債務対GDP比率は財政指標になりえない。アメリカのように、ネットの利払費対GDP比に指標を変更するべきだ。
その上で、
「名目GDPが成長しない状況で、政府債務対GDP比率を引き下げるためには、PBを黒字化する必要がある」
は、一応、理屈として成り立たないこともないのだ。
なぜだろうか。
