… … …(記事全文5,190文字)こんにちは、吉野愛です。
西洋的な考えとして、すべてをいったん壊して、新しくやり直すという方法があります。例えば、アメリカでは企業の倒産という淘汰を受け入れ、市場をリセットして新しい資本を生み出すことがあります。ドナルド・トランプ前大統領は、彼のビジネスの経歴で過去に複数回の破産を経験しています。もちろん破産宣言は経済的な波乱ですが、トランプ氏はその後ビジネスの再建を試み、再び成功を収めています。
アメリカで有名な破産申請で、チャプター7とチャプター13という破産手続きがあります。簡単に言うとチャプター7は債務をすべて踏み倒していく場合で、チャプター13は破産申請後、少しずつ計画的に債務を返済していく場合です。もちろん、所得、財産によってチャプター7が通用しないケースもあります。また破産申請後のステータスも違います。
チャプター7の場合は、己の船底に穴が空いて沈没し、船が海底に沈んで動けない状態であると推測します。今でも海底に沈んでいるタイタニック号のようです。チャプター13の場合は、船が損傷して浸水したが、条件付きで陸揚げした状態なのだと思います。
もし世界が、やり直しがきかないぐらい腐敗していたら、一体どこからリセットすればいいのでしょうか?文明ごと全部破壊してしまうのでしょうか?そんな過激なことを考えている人たちもこの世の中にいることは確かです。しかしそんな必要はありません。
目次
● ナツメヤシと不死鳥
● 破壊と再生
● 予備選挙が始まった
未来への羅針盤
吉野愛(文筆家、国際政治研究者)