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中国から始まる新たな金融パワーゲーム

戸田裕大(中国金融アナリスト)

戸田裕大

中国の国際社会における影響力の高まりを背景に、中国の外交や金融政策、景気対策などが、世界情勢に与える影響は年々大きくなっています。一方で中国に関する中国語以外の情報は少なく、また主義や思想が異なることに起因して情報が正しく伝わらないケースが散見されます。

本メルマガでは、過去に上海で人民元の為替ディーラーを務め、現在は中国金融アナリストとして活動している筆者が、金融プロフェッショナルの視点から、中国語情報にアクセスし、インサイトを加え情報を発信していきます。

具体的には「米中対立が与える影響、デジタル人民元の狙い・一帯一路の現在地点・人民元国際化の定点観測・中国フィンテック&キャッシュレス事情・新興企業が続々上場する科創板・ますます中国色が強くなる香港」などの旬なテーマについて、フェアな視点で、日本や米国への影響について考察します。

おそらく中国金融に関する「日本初」のメルマガとなります。ぜひ本メルマガを通じて中国の狙いや世界の大局観を掴み、ビジネスや投資の参考にして頂ければ幸いです。

タイトル
中国から始まる新たな金融パワーゲーム
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980円/月(税込)
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毎週水曜日
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中国から始まる新たな金融パワーゲーム

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世間のデジタル人民元に対する誤解を解く


みなさん、こんにちは、中国金融を調査しています、戸田です。本日はデジタル人民元に対する世間の誤解を紐解きつつ、デジタル人民元のその真の目的や、副次的なメリットについて考察していきたいと思います。

まず世間の誤解ですが、「中国はデジタル人民元を用いて人民元の国際化を図っているのではないか?」という指摘です。確かにこれだけ世界中から注目が集まっているので、中国は先進的で、革新的だと思う方が増えて、結果として人民元の信任が高まるということは可能性としてあると思います。

しかしこれは目の前で起こっていることを表層的に捉えた指摘であると考えています。

中国がデジタル人民元の開発を開始したのが2014年、これは中国で大規模な資本流出が起こった時期と一致します。つまり私の考えは、資本流出を食い止めるための政策が、デジタル人民元の開発だったのではないか?ということです。

中国人は、中国の長い歴史の中で、自分のことは自分で身を守る習慣が強く、万が一、資産が没収されることを恐れて、資産を海外に残しておくことを好みます。そのため資産の海外逃避に対するニーズは強く、例えば日本に不動産を買いにくる中国人も、日本の不動産が割安だからと言う理由に加え、自身の資産を海外逃避させたいニーズを同時に満たしているからこそ、わざわざ海を渡って日本に視察にくるわけです。

当然、中国政府も資本流出を、指をくわえてみているだけではありません。中国と海外との取引を確認する外貨管理局と言う機関を全国に設置して全件モニタリングを行いつつ、個人に対しては1年間の外貨購入上限金額を5万ドルまでと定めるなど、資本流出を防ぐために工夫を凝らしています。

しかし、それでも、香港との貿易取引のテイをなして中国本土から香港への資産の移転が行われたり、はたまた現金をもって海外へ渡り、人民元を他通貨に両替する取引が盛んに行われているのが現状です。例えば、マカオのカジノ周辺では闇の両替商が、香港ドルを片手に、人民元との両替サービスを提供していますし、今はマカオや香港だけでなく、東南アジア各国に行っても人民元を両替することが可能になっています。

こう言った、事実確認を行っていくと、おそらくは資本流出を食い止めるための政策がデジタル人民元であり、その通貨としての「追跡性能」にこそ真の価値を求めているのだと思います。

これが世間のデジタル人民元に対する見方と、私がデジタル人民元に対する見方の異なる点です。


次にデジタル人民元導入の副次的なメリットについてみていきます。追加で3点ほどのメリットを挙げます。

1点目が偽札流通の防止です。中国では偽札が多く流通していると言われ、コンビニエンスストアなどでも偽札チェックが随時行われています。デジタル人民元の導入を通じて、偽札を撲滅出来ることは治安面でもメリットと言えます。

2つ目がATMの設置コストなど、現金を取り扱うことで発生するコストを削減できることです。キャッシュレスがおそらく世界一、進んでいる中国ではありますが、それでもまだ、いたるところにATMが設置されており、その分の現金集配に係るコスト、電力代金、メンテナンス費用が、革新的な進化とあまり関係のないところで発生しています。また、たまに現金を持ってコンビニで支払いをしようものなら、店員からやや迷惑そうな目でみられることがあります。これは、端的に言えば、人の時間を取らせるなよと言う、店員の白い目です。デジタル人民元は、前述の非生産性を、将来的に大きく削減することが出来る可能性を秘めています。

3つ目がマネーの膨張量を観測することが容易になることです。みなさんはM1・M2・M3などに分類されるマネーストック統計と言う用語を聞いたことはございますか?これは簡単に言えば、金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量を計測した経済用語ですが、ようは実体経済にいくらお金が行き届き、どの程度の信用創造(市中で融資などの信用取引に用いられることで起こる通貨総量の膨張)が行われたかを計測しています。そしてこれがデジタル人民元になれば、容易に計測出来る可能性が高まるのではないかということです。

以上がデジタル人民元の副次的なメリットになります。

中国のデータを利用することに対するアンテナの高さには見習うべきものがある、ということで、各国の中央銀行も一斉にデジタル通貨の開発を進めているのではないでしょうか。

世の中の多くの報道は「デジタル人民元と中国のその大きな野望」と言ったように、その表面を捉えただけの推論が多く、また、中国に関する報道は主義や思想が異なることに起因して、とかく大袈裟に、陰謀めいた論調が渦巻いています。

読者のみなさまには、本メルマガを通じて、極力バイアスの掛かっていない中国情報を手にして頂き、ビジネスや投資に望んでいただければ、筆者冥利に尽きるところです。ぜひご購読頂ければ幸いです。


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