Foomii(フーミー)

大田比路の「2020年代を生きるための政治批評」

大田比路(Hiro OHTA)

大田比路

今月よりfoomiiにてウェブマガジンを配信することになったけど、想定している読み手としては、次の通りになるかな。

(1)政治や時事問題に対する批評を読みたい人々
(2)興味本位で大学講義を聴いてみたい人々

今回、foomiiから執筆の依頼が来たときは、ウェブやメールという媒体で何を書けばどういう層に需要があるのか、見当もつかなかった。しかし、いつも早稲田大学の教壇で話していることをそのまま文章にするだけで、特に若者層に向けて十分に商品価値はあるんじゃないかと考えて、オファーを引き受けたわけ。

購読者の方々には、早稲田の大教室に入ったつもりで、ボクのコンテンツを楽しんでもらえればと思う。大学にバカ高い聴講料を払わずとも、月500円だけで、ネット上で授業を聞けるってことだね。

肩書にもあるように、ボクは個人投資家であり、ときおり母校で学生たちに現代政治を教えている人間だ。だから、このウェブマガジンも政治を中心としたコンテンツになるけど、それ以外の分野のこともドンドン発信していくつもりだ。

では、続きはウェブマガジンの中で。

※今後、状況に応じて、コンテンツのテーマや構成は変更される可能性があります。

タイトル
大田比路の「2020年代を生きるための政治批評」
価格
550円/月(税込)
発行
原則 週1回
課金開始月
購読した月から ※2021年1月1日からの購読予約も可能です。
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大田比路の「2020年代を生きるための政治批評」

https://foomii.com/00213

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# 日本は詰んでいるという事実からスタートしよう


このウェブマガジンを始めるにあたって、まず読者の皆さんに基本的なことを押さえてほしい。それは日本という国がすでに詰んでいるということだ。



まず上記図表を見て欲しい(僕が大学講義で使っているスライドをコピーしたもので、Twitterでも公開している)。これは日本の<1人あたりGDP>の歴史的推移だ。近隣諸国のデータも一緒に載せている。これを見れば一目瞭然だけど、日本経済は30年間にわたって停滞している。失われた30年だ。日本がウロウロしている間に、マカオに抜かれ、シンガポールに抜かれ、香港に抜かれた。これが日本の実情だ。



さらに、上記図表を見てほしい。これは2020年現在におけるOECD加盟国の<1人あたりGDP>だ。購買力平価で示している。すでに日本は、イタリアに抜かれてG7最下位に位置している。さらには韓国にも抜かれた。



さらに、上の図表も見てほしい。これは日本政府がどれだけの借金をしているかを対GDP比率で示している。これを見ても分かるように、日本は世界最悪の借金国家だ。そして、この膨大な借金を返すために、これからの日本は、とにかく増税、増税、増税だ。これからの日本人は、今まで何に使ってきたのかも分からない借金を返すために、ひたすら税金を納め続ける人生を送っていくことになる。

何が言いたいかといえば、日本はすでに経済的に没落しているし、今後もさらなる没落しか待っていないということ。今後、また上昇するようなファクターは何も見当たらない。かつての植民地だった韓国にも経済水準で抜かれ、いままで「途上国」「後進地域」と見下してきたマレーシアやインドネシアといった東南アジアの国々との差も縮まっていく。今までは、そうした国々から日本への「出稼ぎ労働者」が多かったけど、あと10年もすれば、日本人が出稼ぎ労働者として、そうした国々に働きに行く──そのような時代が、もうすぐやってこようとしている。



さらに、上の図表を見てほしい。これは各国が教育予算をどれだけ設けているかという図だ。これを見ても分かるように、日本という国は教育にもたいした予算をかけていない。人材さえ育てれば、いくらでも経済的没落を防ぐことは可能だけど、残念ながらそれも期待できない。恵まれた教育を受けた諸外国の若者と、読み書き計算をかろうじて学んだだけで社会に放り出される日本の若者との差は、さらに強まっていく。



さらに、上の図表を見てほしい。これは大学・専門学校といった高等教育に対して、国がどれだけ予算を投じているかという図だ。これを見ても、やはり日本は最悪だ。中国、韓国、インド、東南アジア諸国などが大学教育に力を入れ、高度な人材を育成し続けているのに対して、日本の大学は、いまだに「高額なレジャーランド」「人生最後の夏休み」であり続けている。特に文系大学生は、専門知識も専門技能も身につけないまま卒業して、根性と努力と中等教育程度の学力だけで日々労働に打ち込んでいるのが実態だ。もちろん、研究活動のための予算も少なく、日本は研究面や技術面でも、これからますます世界に置いていかれる。





上の図表を見てほしい。この国では高等教育にほとんど予算をかけていないので、大学生やその保護者たちが負担する大学の学費も高額だ。他の国々では、国公立大学の授業料を大学院まで含めて無料としているところも多いのに、この国ではアメリカの公立大学をも上回る学費となっている。さらには奨学金にかける予算も最低水準。全大学生のうち私立大学に通う人々の割合も最高水準だ。



さらに、上の図表を見てほしい。これは世界各国における「大学入学年齢の平均」を示した図だ。日本の大学入学年齢はほぼ18歳で固定化している。これは、日本人の大学進学動機が「何かを学びたいから」ではなく「高校を卒業したから」という機械的で無目的なものになっていることを示している。

こうした教育関係の統計からも分かるように、日本という国は、資源に乏しく、高度な人材を育成していくぐらいしか希望がないにもかかわらず、事実上、教育制度・研究制度も崩壊しつつあるということだ。経済的没落を食い止めるための最大のファクターとなるべき教育・研究がこの状況では、日本はますます詰んでいく以外の道がない。

加えて、日本が抱えている最も深刻な問題が「人口崩壊」だ。この国では、毎年のように、数十万人もの人口が減っている。毎年のように、1つの地方都市そのものが消滅しているようなものだ。この人口減少も止める手立てがない。人口が減少すれば、それだけ国力は弱まり、税収も減る。政府の借金はますます返済不能に陥っていく。しかも、現役人口と比較して老人人口の比率は急上昇していく。内閣府の甘い見通しでも、2050年には現役世代3人で老人世代2人を抱える社会がやってくる。そのような社会は現実的に機能しない。社会そのものの崩壊がやってくるわけだ。

日本が抱えているのは、こうした経済的な側面だけではない。人間が自由かつ安心して生きていくには「人権」が保障されていなければならない。いくら経済的に発展したところで、北朝鮮のような恐怖国家であっては意味がない。その点、日本は、アジアによくある人権後進国の1つにすぎない。



例えば、上の図表を見てほしい。これは世界各国の最低賃金水準だ。これを見れば分かるけど、日本の最低賃金は極めて低い。下層労働者たちを非人道的な時給で酷使することで、なんとか先進国の体裁を保っている国、それが日本だ。特に、大学生、若手社会人、外国人労働者、シングルマザーなどは、こうした劣悪な賃金水準の犠牲者となっている。

それだけではない。長時間労働、サービス残業、過労死、過労自殺などの労働問題は、ほとんど解決不能な次元に達している。さらには、結婚制度・家族制度を見ても、夫婦同姓強制や同性婚排除などを見れば分かるように、保守的で多様性を認めていない。司法制度を見ても、捜査機関による拷問、犯罪捏造、代用監獄における長期拘束などの問題が未解決のままであり、国連から何度も勧告を受けている始末だ。

繰り返そう。日本は既に詰んでいる。経済的な没落が止まらず、次世代の若者たちを育てるべき教育も崩壊しており、さらには途上国レベルの人権水準の下、多くの日本人が日々なんらかの人権侵害を被りながら、苦痛と不自由に満ちた人生を送っている──。そして、こうした膨大な政治的・経済的な諸問題を解決に導く政党も存在しない。自民党から共産党に至るまで、日本が抱えている問題の深刻さは理解しているものの、その根本的解決に向けてどうすべきか、誰も見当すらついていない。

この国は明らかに泥舟だ。その泥舟に乗っている僕らは一体どうすればいいのか。沈みゆく泥舟が再浮上するための努力に参加すべきなのか。それとも、この泥舟を見捨てて、どこか別の船に飛び移るべきなのか。それがいまの日本人に課せられた最大の論点だ。

このウェブマガジン/メールマガジンでは、この「すでに詰んでいる日本」という基本的ファクトを土台にして、様々なテーマについて自分の考え方を述べていこう。毎回のテキストが、購読者の皆さんにとって、なんらかの話題のネタになったり、ご自身でなんらかの文章や記事を書く上での参考になれば幸いだ。


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