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今はさすがに関係ないのだが、十代、二十代の頃の私は生理のたびにひどい苦しみを味わっていた。
もし腹痛だけなら何とかその場に留まることができるが、下痢と嘔吐まで伴うため、トイレに何時間もこもってしまうことになる。
中学校や高校の頃、授業中にトイレに駆け込むと、上から下からと休む暇なく排泄が繰り返される。
そうしてもはや出るものが出しつくされると全身が痺れたような感覚に陥り、ようやく痛みが治まるのだ。
トイレから戻ってくると教室は空で、私の机の上にだけ教科書やノートが残されていたこともある。
学習塾の先生をしていた頃にもトイレから戻れず、生徒や塾の先生方に心配をかけたことがある。
いずれの場合も理由は恥ずかしくて言えなかった。
その後、あらかじめ鎮痛剤を飲むことを覚え、乗り切ることができるようになったが、それでも飲んだタイミング次第では鎮痛剤自体を吐き戻してしまっていた。
何で今頃になって生理痛の話を思い出したのかと言うと、読みつつある本(『女性はなぜ男性より貧しいのか?』アナベル・ウィリアムズ著、田中恵理香訳、晶文社)の中に「生理休暇」の話が登場したからかだ。
それによると、「ヨーロッパとアメリカでは生理と更年期のための休暇を規定する政策は、社会で認識された概念になっていない」のだという。
それに対し、「アジアやアフリカでは、有給の生理休暇が何十年も前からあった。日本では1947年に制定され、『生理的現象による休暇』という意味の『生理休暇』と呼ばれていて、ほかに台湾、インドネシア、韓国、ザンビアなどで導入されている」。
何と日本は生理休暇を有給で取得することに関して実に先進的なのである。
しかし生理休暇って実際にとっている女性を見たことも聞いたこともない。
今でも本当にあるのだろうか――そう思い調べてみた。
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