1月15日、トンガ沖で海底噴火があり、日本にも漁業等を中心に被害が出てしまいました。 トンガ沖噴火の場所は、太平洋プレートとその周辺プレートの一つ(オーストラリアプレート)との境界で、そしてその太平洋プレートは日本列島の下に潜り込んでいるプレートですから、この遠く離れたトンガ沖噴火は、日本との関連性があるものなのです。 事実、多くの国民は、このトンガ沖噴火で、2011年2月22日に起こったクライストチャーチ地震(あるいは、2011年カンタベリー地震)を思い起こしたでしょう。当時、多くの日本国民がこの地震で、1万キロ近くも遠く離れたニュージーランドの災害を、「他人事」として眺めていたわけですが、僅か2週間余り後の2011年3月11日にあの未曾有のマグニチュード9以上の東日本大震災が起こったのです。 当初、あまりに遠く離れた地震だったので、その両者の関連に当初、多くの国民は思い至らなかったのですが、複数の地震学者が1万キロ隔てたこの二つの地震が「連動」したものであり「関連」があると言及したのです。 こちらの地図をご覧下さい。 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/19/PacificPlate.png これは、太平洋プレートの地図ですが、その左下にニュージーランドがあり、その左上に日本列島があるのです。つまり、2011年の2~3月にかけて、この太平洋プレートが活性化し、その帰結として左下のニュージーランドと左上の日本で大地震が起こったわけです。 で……今回のトンガ沖噴火は、上記地図からお分かり頂ける通り、そのニュージーランドと隣接するプレート境界域で起こったわけです。だからこのトンガ沖噴火は、太平洋プレートの活性化と連動しているわけです。 そして、太平洋プレートの活性化と関連する大地震と言えば、首都直下地震、です。 したがって、クライストチャーチ地震の数週間後に南海トラフ地震が起こった様に、トンガ沖噴火の直後の今、首都直下地震が起こる可能性は十分に考えられるのです。 もちろん、防災しようとはさして考えない「理学者」や、予測を外した責められたくないと考える役所である「気象庁」らは、こういう関連性を認める発言は絶対にやりません。彼等は、「関連性がある、と断定的に、安心して言える」時にだけ「関連性がある」と言い、「関連性がある可能性がある」という状況では「関連性があるとは言えない」と言うのです。 当方は防災・強靱化をメインのテーマとする研究者ですから、こういう気象庁や理学者達の態度には、心底イライラしています。で、いつも次の様に思っています。 「お前等がそんな、保身のためだけに慎重な言い方ばっかしてるから、地震対策が加速しないんじゃないか!その結果、対策がおろそかになって、地震が起こった時にたくさん人が死ぬ事になるじゃないか。だから結局お前等は、自己保身のために慎重な言い方だけをやって、間接的に大量の日本人を殺している、間接的人殺しだって事になるんだぞ、お前等、それが分かってるのか!?」 ……既にお分かりいただけたかと思いますが、この感覚、憤りは、尾身や西浦らに代表される「コロナはヤバいぞ」と過剰に触れ回るおぞましい医者達に対するものと同じですね(笑)。 つまりこの気象庁や理学者達の「無関係だ」コメントは、政府のコロナ分科会の「コロナヤバイ」コメントと同様に、さらに言えば財務省の「財政破綻ヤバイ」コメントと同じく、政府とその御用学者たちの「腐敗」を示すサンプルになっているわけです。 ホント、今の日本は保身だけ考える役人と学者どもによって、滅ぼされかけているわけで、本当に残念な話……です。… … …(記事全文4,446文字)
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)