先週11日のプライムニュースに出演した伊藤惇夫が、長妻昭に対して、「立憲民主党の支持率が17%から4%に下がった理由は何ですか」と率直に訊ねる場面があった。視聴者が最も期待した質問で、できれば枝野幸男に向かって発する場面を見たかった。長妻昭は答えられず、言葉を濁して逃げていた。こういう不本意な役割を押しつけられる長妻昭を不憫に思う。この設問は政治の重要なテーマだが、未だ定説として頷ける解答は聞いていない。 今回、私なりに一つのセオリーに思い至った。結論の要点を先に述べると、代表の枝野幸男のインタレストの問題があり、支持率獲得の機会損失を繰り返しているミスがある。そして、旧民主党時代から続くこの党の病弊であるところの、「この問題は与野党間で対立する問題ではない」の論法で切り捨て、重要政策の課題を責任として引き受けずにオミットし、政府与党と安易に立場を一致させ、国民の期待にまっとうに応えない問題がある。具体的に説明しよう。 今年のコロナ問題がまさにその典型例と言える。私は何度も、野党は政府の専門家会議に対抗して野党独自の専門家チームを作れと提言した。政府の専門家会議があまりに無策で無能だから、それに代わって対案を出すまっとうな専門家チームが必要で、野党がそれを組織して国民の要求に応えるべきだった。感染状況を正確に分析予測し、科学的知見を隠さず国民に開示し、PCR検査拡充の具体策を進言する機関が必要だった。 山梨大学学長の島田眞路などは、「PCR検査体制強化のために今こそ地方国立大学が蜂起せよ」と、反政府の革命の檄まで飛ばしていたのだから、そうした専門家を味方につけて、大学のリソースを応用したプロジェクトを構想し、地域の医師会と連携して検査体制構築を工程化することができたはずだ。今年の最大の国民の関心事だったPCR検査問題こそ、「提案型野党」の出番だった。だが、野党は表面的な安倍批判をするだけで、ワイドショーを補佐する外野の野次馬同然に終わった。… … …(記事全文4,736文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)