Foomii(フーミー)

田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株

田代尚機(TS・チャイナ・リサーチ(株)代表)

継続購読で1ヶ月目無料

田代尚機

私が証券会社のアナリストとして北京に赴任したのは1994年3月であるが、その年、中国の名目GDPは日本の8分の1にすぎなかった。しかし、それから格差は毎年縮小し続け、2000年には4分の1、2005年には半分、そして2009年にはとうとう追い越されてしまった。ちなみに、2017年は日本の2.3倍に達している。

1994年から2017年にかけて日本の名目GDPは▲0.7%減少したのに対して、中国は21倍に拡大、日本経済が長く低迷する中で、中国が爆発的に経済を発展させた。

この間、日本の有識者たちは、“共産主義体制の中、国民は不満を抱えている”、だから、 “共産党一党独裁体制は間もなく崩壊する”といった政治体制に対する見方から、“社会主義体制は非効率であり早晩、自由主義体制に移行する”、“不動産バブルの崩壊が近い”、“多額の不良債権発生で金融破綻が起きる”といった経済情勢に対する見方まで、ネガティブな見解ばかりを発信し、間違い続けてきた。

もちろん、中国にも問題がある。しかし、そこをいくら細かく調べたところで実態は見えてこない。結果的に、中国の政治体制は強固で、経済システムは柔軟で、危機に対して大きな靱性を持っている。また、中国社会の多様性は大きく、人民の発展に対する意欲は非常に強い。そうした点にについて、分析が及ばなかった。

中国経済の拡大はまだ続く。世界経済との関わり、世界の株式市場との関わりは今後、ますます深まっていくだろう。好き嫌いといった感情を捨てて、客観的に中国を評価しなければ、世界経済も、世界の株式市場も、正しく予想することは到底できない。

この有料メルマガでは、中国の政治、経済、金融、株式市場について、中国本土からの視点に重点を置き、日本のマスコミが見落としがちな部分を拾い上げ、真実の中国の姿を伝えたいと考えている。

日本株、外国株投資を行う投資家はもちろん、中国をはじめ、海外ビジネスにかかわるサラリーマンの方にも役に立つディープな情報をお伝えしたい。

タイトル
田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株
価格
1,490円/月(税込) 継続購読で1ヶ月目無料継続購読で1ヶ月目無料とは
発行
毎週月曜日(年末年始を除く)
課金開始月
購読した月から ※開始月(今月/来月)をお選びいただけます。
購読する
////////////////////////////////////////////////////////////////
2018年8月27日  第1号

「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」

TS・チャイナ・リサーチ株式会社 田代尚機 発行
////////////////////////////////////////////////////////////////

【本土株下落の要因は景気減速ではなく、人民元安】
上海総合指数は8月24日現在、20日の場中で記録した安値2653ポイントを底値として戻してはいるが、国家隊による買い支えがあったとみられ、それで下げ止まっている。出来高は低迷、戻りは弱く、日足、週足、月足いずれでみても、底割れのリスクがある。

マスコミでは米中貿易戦争による景気減速を懸念した売りが株価低迷の要因といった説明が多いが、実態は少し違う。

輸出は好調を維持しており、景気減速は投資、特にインフラ投資の減速によるところが大きい。足元では米中貿易戦争の影響は見られない。

景気減速は、当局が供給過剰産業、環境汚染産業の投資を抑え、金融機関のリスク拡大を抑えようとしているからである。質の悪い投資を辞めさせ、将来経済に大きなリスクを与えかねない理財商品バブル、不動産バブルを抑え、地方政府に広がる不良債権をこれ以上増やさないことを経済政策の中核に置いているからだ。

構造改革を進めながら、社会で不足しているインフラ投資を拡大させることで景気を下支えしているのだが、それは、ここ数年続けて行われている。残念ながら、いい加減な計画、投資収益の極めて低い計画、背後に賄賂が存在する計画などが存在し、それが無視できなくなってきた。PPP(公民連携)プロジェクトでも同様だ。公共投資ではどこの国でも、いつの時代でも見られる光景である。今年に入り、そうした問題点を整理したために、掛け声とは裏腹にインフラ投資が出てこなかったのである。

成長戦略は一貫して行われている。戦略的新興産業を国家の重要産業に育てるといった大方針をもとに、政府関連のファンドを通じて資金を選択的に供給したり、政府が重点企業を認定したり、重点プロジェクトを指定したりすることで、銀行や民間からの資金調達のサポートをしたり、研究開発のための補助金を出したりしている。ただ、ハイテク産業の生産は増えてはいるが、その力はまだ小さい。サービス業や新業態の発生は経済を活気づけており、三次産業のウエートが高まるといった形で経済構造の変化は進んではいるが、それらが経済全体を加速させる力は弱い。当局はアクセルとブレーキを同時に踏んでいるわけだが、今はブレーキの方が、力が強い。だから景気はスローダウンしている。

中国本土の株式市場は個人投資家や、その個人投資家が背後にあり、短期的な収益競争に明け暮れるファンドが中心であり、事業法人、保険会社や社会保険などの金融法人、長期投資を目的とした公募ファンドなどはあくまでわき役である。さらに、長期投資家として期待される外国人の持ち株比率は2~3%程度に過ぎない。投機が中心の市場である。

政府が金融を緩和すると言っても、市場全体に不用意に資金を供給すれば、株式市場は2006~2007年、2015年前半などのように、簡単にバブルが発生する。証券監督管理委員会は、資金が違法に株式市場に流れ込まないように厳しく管理している。これでは投機家たちは動きにくい。

実は、間接的に米中貿易戦争の影響は十分大きい。

アメリカは年間500億ドル相当の中国からの輸入品に対して25%の追加関税をかけることになったが、既に中国の輸出が減速しているわけではない。

アメリカに対して中国も、同様、同程度の報復措置を打ち出しているが、米中貿易には大きな不均衡がある。アメリカ側の統計をみると、2017年の中国からの輸入額は5056億ドルで、中国への輸出額は1304億ドルに過ぎない。アメリカが追加関税対象の金額を引き上げていけば、中国側は最大でも1304億ドルまでしか対抗できないことになる。

この弱点を補うために最も有効な対策は、人民元を安くすることである。実際の人民元対ドルレートの動きをみると、今年に入り最も人民元が高かった(基準値)のは4月2日であり、8月24日時点では、その時よりも9.5%人民元が安くなっている。米中貿易戦争が激化した6月中旬以降では7%程度人民元が安くなっている。中国人民銀行は決して為替操作をしているなどと言わないが、実際はうまくコントロールしているとみるべきだ。

中国の為替制度(銀行間外貨取引)は基準値をベースに上下に2%の変動枠を設けるといった管理フロート制である。相場が始まる前に中国人民銀行が基準値を発表している。ややこしいのは、基準値の設定方法である。それには前日の終値、通貨バスケット、モメンタムを和らげる調整などが複雑に絡み合っていて、中国人民銀行の説明とは裏腹に、実際にはブラックボックスの中で決定されている。

もっと重要なことは、市場参加者は国内勢が中心であり、中でも中国人民銀行を含め、国有商業銀行がメインプレーヤーとして君臨していることだ。これらの金融機関のトップ人事は共産党が握っており、いくら上場企業だからと言っても、国家戦略の実行が株主利益の最大化よりも優先される。そもそも、外貨管理業務は規制でがんじがらめとなっており、銀行の自由度は小さい。

これまでもそうだが、今後も、形の上では、為替取引の自由度の高さ、透明性を主張し、元安はあくまで市場の実勢に任せた結果だと言い続けながら、中国人民銀行は巧妙に為替管理を続けるであろう。それは、トランプ大統領がいくら、“為替操作をしている”と批判したところで、自国の金融市場を外資から死守するために、変えることはありえない。「製造2025」計画同様、中国は一歩も引くことはないだろう。

投資家(投機家)たちは、人民元の先安を読んでいる。さらに言えば、アメリカは金利を段階的に引き上げており、中国は景気を下支えするために、金融緩和を行っており今後、緩和を加速させる可能性がある。ならば、人民元を売ってドルを買った方が有利である。

多くの中国本土の投資家(投機家)は、日本のマスコミが喧伝するように、中国の将来に不安を持っているわけではない。それどころか、10年もすれば、中国はアメリカを抜いて世界最大の経済大国になると楽観視しており、特にIT産業をはじめ戦略的新興産業が急成長するだろうと予想している。だから、長期では“人民元買い”が強い。しかし、短期では“人民元売り”と読んでいるのだ。

株式市場に話を戻すと、この人民元安見通しが本土株式市場にとって最大の下げ要因となっている。資本流出が止まらず、新たな資金が入ってこないのだ。国家隊が株価安定化政策を行ってはいるが、力不足である。本土市場はしばらくの間、底値を探る動きとなりそうだ。


【注目の中国株】
今年に入り、滬港通、深港通を通じ、海外からA株市場に流入した資金量は2000億元をこえる。市場全体は軟調だが、海外からの長期資金に限れば流入基調が続いている。MSCIは8月31日、新興株指数に採用するA株のウエートをこれまでの倍に引き上げることを決めているが、これによって、700億元以上の資金が流入するのではないかと見方もある。

今週は経営の先進性、フィンテックへの取り組みなどで外国人機関投資家から高い評価を受けている中国平安保険に注目したい。株価は8月16日場中に71.39香港ドルを付けてから戻り歩調となっており、底打ち感が強まっている。

中国平安保険:18年6月中間決算は34%増益 生保事業がけん引、フィンテックも貢献 
◇中国平安保険
◇Ping An Insurance (Group) Company of China,Ltd.
◇ハンセン:02318
◆ポイント
◇損保事業は14%減益、保険金支払いの増加や税額急増が痛手
◇フィンテック・ヘルステック事業が急成長、利益が14.7倍に拡大
◇テクノロジーを積極利用、6月末の特許申請数は6000件超に倍増 
◆テクノロジーを積極利用、6月末の特許申請数は6000件超に倍増
2018年6月中間決算は経常収益が前年同期比16.7%増の5874億1500万元、純利益が同33.8%増の580億9500万元だった。中間決算での最高益更新はこれで8年連続。経常収益は10年連続で最高額を更新しており、持続的な成長力を裏づけた。特に生命保険事業が好調で、全体をけん引。損害保険事業は減益となったが、フィンテックやヘルステックなどのビジネスが利益を急激に伸ばし、穴を埋めた。

事業別では生保部門の利益が44.2%増の343億2800万元となった。保険料収入が21.6%増の2891億2000万元に伸びる中で保険金等支払金が13.1%増の2148億9800万元にとどまり、利幅が広がった。損保事業の利益は14.1%減の59億2400万元。保険料収入が14.9%増と堅調だったが、税額の急増などが響いた。銀行部門は資金利益が横ばいだったものの、貸倒引当金が7.9%減に縮小したことなどが奏功。利益は6.5%増の133億7200万元に達した。フィンテック・ヘルステック事業は利益が14.7倍の46億700万元。18年5月に香港に上場したヘルステックの平安健康医療科技(01833)が登録利用者数を41.2%増の2億2800万人に伸ばすなど急成長が続いた。

フィンテックやヘルステックなどテクノロジーを活用する分野の強化を進めており、18年6月末の特許申請数は6121件に倍増した。今後も人工知能(AI)、ブロックチェーン技術、クラウドなどを中心に投資を継続し、事業に結びつける。
 
◆会社概要
国内2位の生保会社。保険、銀行、投資事業を柱に総合的に金融サービスを手掛ける。生保は平安人寿保険、損保は平安財産保険を通じて展開する。2018年上期の国内シェアは生保が16.8%、損保が19.7%で、いずれも国内2位。銀行事業では11年に子会社化した平安銀行(000001)を傘下に持つ。投資事業では資産管理、証券事業などを手掛ける。フィンテック事業への投資にも積極的。筆頭株主はタイ系財閥のチャロン・ポカパン。

(8/22、中国株投資有料情報サイト 二季報Webより)
https://nikihou.jp/index.html


////////////////////////////////////////////////////////////////
本メールマガジンに対するご意見、ご感想は、このメールアドレス宛に返信をお願いいたします。
////////////////////////////////////////////////////////////////
■ 有料メルマガの購読や課金に関するお問い合わせはこちら
  info@foomii.com 
■ 配信停止はこちらから:https://foomii.com/mypage/
////////////////////////////////////////////////////////////////
著者:田代尚機(TS・チャイナ・リサーチ(株)代表)
著者サイト:http://china-research.co.jp/
facebook:https://www.facebook.com/naoki.tashiro.98
////////////////////////////////////////////////////////////////

  • 田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株
  • 最後までお読みくださり、ありがとうございます。
    このメルマガを購読しませんか?
購読する

今月発行済みのメルマガ

  • 2018年10月

ここ半年のバックナンバー

  • 2018年9月

  • 2018年8月

2018年のバックナンバー

  • 2018年9月

  • 2018年8月

このメルマガを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたメールマガジンのすべての記事を読むことができます。2018年10月19日に利用を開始した場合、2018年10月1日~19日に配信されたメールマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2018年11月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、ペイジー、ウェブマネー、ドコモケータイ払い、auかんたん決済をご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISAMasterJCBAMEX

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

継続利用で1ヶ月目無料とは

初めてご利用される場合、2ヶ月以上の継続利用をしていただくと、最初の1ヶ月分のご利用料金が無料となります。詳しくは「継続利用で1ヶ月目無料」をご覧ください。

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する