Foomii(フーミー)

天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

イスラエル独立について書かれた70年前の毎日新聞の社説
無料記事

□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2018月5月21日第369号 ■   =============================================================     パレスチナの現状を悲しむ5月18日の「布施広の地球儀」  =============================================================  今年はイスラエル建国70年であり、その日を祝してトランプ大統領は5月14日に米国大使館をエルサレムに移転した。  ところがその日はパレスチナ人にとっては不幸の日だった。  パレスチナの抗議デモが起こり犠牲者が出た。  しかし、その抗議は弾圧され、イスラエルは抗議者に実弾を撃ち込む暴挙出た。  犠牲者の言葉が痛々しい。  「私たちはイスラエルのオリに閉じこめられている。抗議する姿を世界に知らせたい」(主婦)  「イスラエルの不正義は許せない。撃たれて死んでも構わない」(銃撃を受けて松葉杖で抗議する少年)  このパレスチナの現状を、毎日新聞の布施広専門編集委員が5月18日の紙面「布施広の地球儀」で憂い、悲しんだ。  「イスラエルの支配下に生きるパレスチナ人は、かわいそうに、と言う言葉しかない」と。  そう書いた後で彼は続ける。  原因を作った米トランプ政権はパレスチナ側が悪いと開き直る。  イスラエルの過剰な武力行使を世界が問題にしているのに、米国だけは別だと。  米国の選挙はユダヤ団体ににらまれると当選が危うくなる。  だから毒まんじゅうでも食べたように、露骨にイスラエルを擁護する政治家が目につくのだと。  これが超大国である米国の悲しい風景だと。  そしてさらに続ける。  シリア関連の国連安保理決議案にロシアは12回も拒否権を使ったと米国は非難するが、その米国はイスラエル関連の決議に40回以上拒否権を行使して来たと。  日本の大手新聞社の幹部ジャーナリスが実名でここまで米国・イスラエルのパレスチナ政策を批判するのを見たのは初めてだ。  それほどパレスチナの現状は酷いということだ。  しかし、私がこのメルマガで読者と共有したいのは、その後で布施記者が教えてくれた70年前の毎日新聞の社説の事である。  イスラエルの独立を報じた1948年5月16日の毎日新聞の社説はこう書いていたという。  ユダヤ人がパレスチナに故国再建をめざすのはもっともだが、この地の人口の大部分を占めるアラブ人も民族統一と勢力拡大を求めており、「歴史的に見て、パレスチナに対する主張は(ユダヤ、アラブ)両民族にそれぞれありうるのである」と。  つまり、1948年に成立したイスラエル承認決議(パレスチナ分割決議)そのものが、イスラエル・パレスチナ対立の原因を作り出したことを70年前の毎日新聞の社説が認めていたのだ。  他の新聞の社説はどう書いていたか、それとも書かなかったのか、それは知らないが、毎日新聞だけがこの決議に批判的だったはずがない。  みな、この1948年の国連決議がその後の中東情勢にとって問題をはらんだ決議であった事を知っていたはずだ。  そして布施広記者は書いている。  それから70年経った現実は、「平和共存」どころかイスラエルが建国70年を祝う陰で、難民と化したパレスチナ人は70年前から「大災厄(ナクバ)」の苦難と悲哀の70年だったと。  この絶望的な格差は米国の改心なしには解消できないと。  2001年の米同時多発テロの首謀者ウサマ・ビンラディン容疑者は、動機の一つに米・イスラエルのパレスチナ弾圧を挙げていたと。  どんな理由でもテロは許されないが、米国は我が身を鏡に映すようにして、なぜ自分たちが憎まれるのか考えたほうがいいと。  私がパレスチナ問題で言いたい事のすべてが、この布施広記者の言葉の中にある(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

2019年のバックナンバー

2018年のバックナンバー

2017年のバックナンバー

2016年のバックナンバー

2015年のバックナンバー

2014年のバックナンバー

2013年のバックナンバー

2012年のバックナンバー

2011年のバックナンバー

2010年のバックナンバー

2009年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2024年3月19日に利用を開始した場合、2024年3月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2024年4月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、ドコモケータイ払い、auかんたん決済をご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

銀行振込では、振込先(弊社口座)は次の銀行になります。

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する