□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2018月2月10日第121号 ■ ============================================================== 安倍首相が核放棄の圧力をかける相手はプーチン大統領である ============================================================= 私は2月7日のメルマガ第111号で、週刊新潮が教えてくれた1月24日夜の安倍首相と官邸キャップのオフレコ懇談を引用して書いた。 安倍首相の平昌五輪開会式の出席は、外交的には何の戦略もない、ただ五輪開会式に出席したかっただけの訪韓であることを、安倍首相みずから記者たちにばらしていたと。 それを知ったにもかかわらず、記者たちは、あたかも日韓合意の見直しに釘を刺し、北朝鮮への分断作戦に屈しない方針を文在寅大統領に強く迫るために訪韓すると、ウソを書き続けていると。 そして、きのう9日、日韓首脳会談が行われた。 大手メディアはどこも同じようにその通りの首脳会談だったと書いている。 確かめることもなく、取材をすることもなく、官邸の説明をそのまま垂れながしていることは、どの記事を見ても同じ様な書き方をしていることから明らかだ。 平昌五輪の開会式の成功で頭がいっぱいの文大統領にとっては、いい加減にして欲しい、と思いながら、安倍首相の顔を立てたに違いない。 しかし、ここで私が書きたいのは、そんな、日本しか関心のない日韓首脳会談の事ではない。 もし本当に安倍首相が北朝鮮の核は絶対に認めないと考え、米国の攻撃を容認してまでも北朝鮮に核兵器を放棄させるつもりなら、きょう2月10日に書かれた日経新聞高坂哲郎編主委員の「トランプ政権、小型核を開発へ」という記事を、どう思って読むだろうか、ということだ。 そこには、要旨次のように書かれている。 すなわちトランプ大統領が使える核の開発に踏み切った背景には、ここ数年、プーチンのロシアが核兵器を実戦に使用する構えを強めているからだという。 その懸念は2014年にロシアがクリミア半島をウクライナから奪取した時、プーチン大統領はNATOと対抗するためには「戦術核の使用も辞さない」という構えを取っていた事が、最近になってわかって、強い衝撃を受けたからだという。 ロシアは戦術核を「通常兵器の破壊力を少し大きくしたもの」くらいにしか考えていない(防衛省関係者)というのだ。 そう教えてくれた後で、高坂編集委員は次のようにその記事を締めくくっている。 1945年8月に米軍が広島と長崎に核爆弾を投下した後、世界はキューバ危機など何度か核戦争の瀬戸際に追い込まれたが、核の実戦使用はかろうじて避けて来た。 しかし、現在の状況は、覇権主義を強めるロシアが「使われる核の時代」に米国を誘い込んでいる構図だ、と。 驚いた。 もしこれがトランプの「核体制の見直し(NPR)」の理由なら、一番危険で、世界平和に逆行しているのは、北朝鮮の金正恩ではなく、プーチンのロシアであるということだ。 100%米国と共にある安倍首相が圧力をかけて核を放棄させるべき相手は、北朝鮮の金正恩などではなく、ロシアのプーチン大統領であるということだ。 安倍首相はプーチン大統領と20回近く首脳会談を重ねた仲だ。 そして、官僚たちから教えてもらっている安倍首相のことだから、高坂哲郎日経編集委員が書き、日本の防衛省関係者がそう言っている、このプーチン大統領の核政策を、知らないはずがない。 安倍首相は、次にプーチン大統領と首脳会談する時、プーチン大統領に戦術核兵器を使うな、と圧力をかけられるのか(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)