□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2018月1月31日第98号 ■ ============================================================== ダボス会議に安倍首相が欠席せざるを得なかった理由 ============================================================= ダボス会議に出席した小林喜光経済同友会代表幹事が、きのう1月30日の記者会見で、出席を見送った安倍首相を次のように皮肉ったらしい。 「メイさん、メルケルさん、マクロンさんも、トランプ大統領も来ていた。主要国で日本だけが参加せず、トップ交流の機会を逸した。日本の情報発信をやるべきだ。もったいない」と。 実際のところ、私も、もったいないというより、不思議に思っていた。 国会審議などおかまいなしに、あれほど世界を外遊しまくっている安倍首相が、そして首脳外交を自慢する安倍首相が、さらに言えばトランプ大統領との仲を自画自賛する安倍首相がトランプ大統領の出席が決まったにもかかわらず、なぜ今年のダボス会議を見送ったのか。 その事をどのメディアも書かない。 そう思っていたら、きょう1月31日の日経新聞{Deep Insight」で、菅野幹雄記者が解説して、みせてくれた。 1年前のダボス会議は、西側各国の首脳の多くが出席を見送りトランプ大統領がどんな政策を繰り出すか身構えた。その虚をついて中国の習近平主席が出席し、自由貿易の先導者のような振る舞いをしたと。 しかし、今年のダボス会議は、世界経済のあらたな勢力図を探り合う、世界の首脳の駆け引きの場となったと。 その最大の理由は、トランプ大統領が今年に入ってダボス会議に参加すると表明したからだと。 実際のところ、 メルケル首相が参加表明をしたのはトランプ氏の出席決定の直後であり、欧州の首脳は対トランプで足並みをそろえたと。 私が注目したのは、その後に安倍首相の欠席について菅野氏がこう書いているところだ。 「・・・安倍首相が『旬の人』だったのは4年前の2014年1月。ダボス会議の冒頭演説で首相は能弁だった・・・」 こう書いて、日本経済は長く続いたデフレから抜け出そうとしている、財政健全化の軌道に乗りつつある、いかなる既得権益も私の(岩盤打破の)ドリルから無傷ではいられない、などと大見得を切った事に言及した上で、 菅野氏は「日本はいま世界にどんなメッセージを訴えられるだろうか」と書いている。 要するにアベノミクスのすべてが失敗に終ったいま、世界に語るものは何もないというわけだ。 それだけではない。 4年前の約束はウソだったのかと世界のメディアから突っ込まれるのを恐れたに違いない。 日本のメディアや国民はごまかせても、世界はごまかせない。 それを知っている安倍首相がダボス会議から逃げたのだ。 外遊できなくなった安倍首相は、いよいよ終わりであるということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)