□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2018月1月24日第81号 ■ ============================================================== 日本には黒田日銀総裁を批判できる経済専門家はいないのか ============================================================= きのう1月23日に開かれた日銀の金融政策決定会合とやらで、金融緩和の「現状維持」が決められたらしいが、私が驚いたのはその直後に記者会見で語った黒田日銀総裁の言葉だ。 日銀は5年前に、黒田総裁が白川前総裁の後を受けて総裁になった時、物価上昇率2%の目標を掲げた共同声明を発表した。 しかし、それから5年もたって、一度もその目標が達成されなかったばかりか、いまではゼロ%台(0・9%)だ。 その事を聞かれて黒田総裁は、「残念ではあるが、共同声明の考え方が間違っていたとは思わない」と語ったという。 デフレ脱却の為行った金融政策の「異次元緩和」の副作用が懸念されているのに、「(金融緩和をやめる)出口やその際の対応を検討する局面には至っていない」と否定した上で、「緩和を粘り強く続けることが日本経済にとって必要」と強調したという。 私は経済に素人だが、どう考えても黒田総裁は黒を白と言っているように聞こえる。 私は外務官僚を35年間つとめた経験から外交についてはわかる。 だから安倍首相がどのようなウソや詭弁をくり返して自画自賛しようとも、安倍外交の失敗を明らかにし、自信を持って徹底批判できる。 しかし、私がアベノミクスや、その実現の道具となってきた黒田日銀の金融政策について批判しても、説得力はない。 だから、私は経済専門家に、それを期待する。 ところが、報道によれば、4月8日に任期が迫った黒田総裁の後任人事について安倍政権は2月中にも人事案を示すらしいが、ポスト黒田は黒田しかいないという。異次元緩和を熟知し、物価目標の達成も道半ばであることから、「続投しか考えられない」と政権幹部は話してるらしい(1月24日朝日)。 こんなことがありうるのだろうか。 飛び続けなければ落ちるといってあらゆる禁じ手を使い、5年間もやりたい放題してきたのに、なんの成果も出せずに、それでも何の責任も取らずに再任されるとう。 しかし、報道を見る限り、そんな黒田総裁の再任を正面から反対する者はいない。 こんなことが許されるのか。 経済専門家の中に、アベノミクスに代わる政策を提示できるものはいないのか。 その政策を進めるために黒田総裁の更迭を求める経済専門家はいないのか。 それとも、黒田総裁が正しいとでもいうのか。 あるいは経済専門家こそ、安倍首相にもっとも「忖度」する臆病者たちの集まりなのか。 私にはわからない。 わかっている事は、いまの日銀総裁など、安倍首相に従うことさえできれば、誰でも務められるということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)