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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

ゴルフと会食を優先した安倍対米首脳外交の歴史的敗北
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2017年11月9日第873号 ■   ==============================================================   ゴルフと会食を優先した安倍対米首脳外交の歴史的敗北  ==============================================================  きょう11月9日の読売新聞が、トランプ米大統領の韓国国会での演 説全文を掲載している。  それを読んで思わず唸ってしまった。  演説の冒頭の大部分を使って、北朝鮮と共に戦った韓国を讃え、米韓 「血の同盟」関係を確認している。  返す刀で演説の大部分を割いて北朝鮮を酷評している。  極めつけは次の言葉だ。  「北朝鮮は、あなたの祖父が思い描いた楽園ではない。誰にとっても ふさわしくない地獄だ」  そして、最後に再び韓国を絶賛し、ありがとう、あなたたちに神の祝 福がありますように、と締めくくっている。  しかもその後で、朝鮮の人々に神の祝福がありますように、と南北統 一をほのめかしてる。  いくら韓国で、「トランプ来るな」というデモが起きても、この国会 演説を聞けば、韓国民は自尊心をくすぐられるだろう。  これが、トランプを国賓として招待した文在寅大統領の首脳外交だ。  そして、次に訪れた中国では、いまや帝王となった習近平主席が、中 国が世界に君臨した時代の象徴である故宮を貸し切りにして、トランプ 大統領を、聞いた事のない、「国賓を超えた賓客」としてもてなした。  まもなく始まる首脳会談でも、立場の違いを巧みに封印して、世界を 支配する米中大国関係を演出することになろう。  これこそが首脳外交だ。  首脳外交とは、決して首脳間の個人的友好関係を誇示するものではな い。  その国の国民を背負った二国間の首脳の、国家の威信と国益を賭けた 凌ぎ合いなのだ。  ひるがえって、それに先立って行われたトランプ大統領の来日はどう だったか。  個人的友好関係を強調するあまり、ゴルフと会食パフォーマンスが優先された。  米国大統領の初来日にもかかわらず国賓としなかったのは、天皇陛下 の謁見を避けるためではなく、ゴルフをしたかったからに違いない。  いまとなってはそう思わざるを得ない。  トランプ大統領の国会演説よりも、トランプ大統領とのゴルフと会食 を優先したかったのだ。  それもそのはずだ。  日米同盟という名の対米従属一辺倒の戦後の日米関係では、米国の大 統領が日本の国会で日本国民に語るべき言葉はないからだ。  その対米従属関係を、ここまで「強化」させ、国民に見せつけた安倍 首相は、習近平主席や文在寅大統領の首脳外交に比べて歴史的敗北をお かした。  ついでに言えば、今度のトランプ大統領のアジア歴訪の主要議題である 北朝鮮問題についても、文在寅大統領や習近平主席にとっては、危機が 問題ではない。あくまでも米国との外交をいかに有利に運ぶかのカード なのだ。  その意味ではトランプ大統領も同じだ。  一方の安倍首相は、本気になって危機を煽っている。  笑い話だ。  まさしく首脳外交における安倍首相の歴史的敗北である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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