□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2017年8月6日第621号 ■ ============================================================== ガトリンの涙とボルトの笑顔 ============================================================== 世界陸上選手権の100メートル決勝を見てこれを書いている。 ニュースを見ようと思ってテレビをつけたら偶然にもドラマに出くわした。 ガトリンが優勝してボルトが3位に終わった瞬間だった。 ボルトの引退試合という最後のチャンスにボルトに勝ったガトリンは、ゴールした直後、グラウンドにひれ伏して泣いた。 これまでの努力が報われたのだ。 ひとは皆、その結果がどうであれ、苦しみぬいた後には必ず涙する。 力を尽くした証である。 一方のボルトは悪びれることなく笑顔で観衆に応えてグランドを回っていた。 ファンと笑顔で写真に納まり、インタビューに快く答えていた。 引退試合を勝利で飾れなかった事が残念でないはずはない。 しかし、その悔しさを微塵も感じさせず、終始笑顔を見せていた。 やせ我慢だろうか。 違うと思う。 どのような強者であっても、敗れる時は必ず来る。 ボルトの見せた笑顔は、ボルトが真の強者であるからこそ見せる事の出来た、本当の笑顔だ。 真の強者の証だ。 人はなぜスポーツ観戦が好きなのだろう。 おそらくそこにはウソがないからだ。 人間の限界に挑戦する感動を共有できるからだ。 ひるがえっていま我々が目にしている政治はどうか。 ウソだらけだ。 感動の微塵もない。 スポーツを競い合う事が出来るのも、我々がそれを見て感動できるのも、すべて平和であるからだ。 平和は人間が生きる上で絶対的に必要なものだ。 平和を希求する究極の安全保障政策が憲法9条である。 しかし、政治は、その憲法9条でさえも政局にしている。 世界で真っ先にそれを手に入れたのに、捨てようとする安倍首相はそれだけで政治家失格だが、本気で憲法9条を守ろうとせず、憲法9条まで政局にしている民進党の政治家たちも話にならない。 政治はスポーツにくらべて実にくだらないものだ。 いや、スポーツだけではない。 学問であれ、芸術であれ、ビジネスであれ、趣味の活動であれ、娯楽であれ、いや、我々の凡庸な日常生活の繰り返しでさえも、政局に明け暮れるいまの政治よりは、はるかに意味のある営みだ。 いま我々が目にしている政治など、税金を使ってやらせる価値はない。 政治は新党憲法9条ひとつでいい。 世界陸上選手権の100メートル決勝を見て、あらためてその思いを強くした(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)