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誰にも相談できない恋愛とセックスの話

里中李生(作家)

里中李生

利己的な愛の反対とは何か
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2018/01/17配信 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 誰にも相談できない恋愛とセックスの話 利己的な愛の反対とは何か ウェブで読む:http://foomii.com/00094/2018011612000043591 EPUBダウンロード:http://foomii.com/00094-44149.epub ─────────────────────────────────── 前回の記事の中に「利他」という言葉が出てきて、最近、たまに使っていて、だけどそれをタイトルやらになるべく使うのをやめたいと思っている悩ましい状況。 読者からも、「なんだよ、それ」って言われたから解説する。 利他。 なんか宗教っぽい言葉に聞こえるし、古臭い言葉にも見える。 以前からそう思っていて、代わりに使っていた言葉が、そう「自己犠牲」。こちらはもう十年以上前から使っているが、これまた、「男の自己犠牲の精神は戦争を生んだ」という著名な人の言葉を聞いて、がっくりしていたんだ。で、利他に変えようと思った。 ところが利他もなんか古臭い。 まあ、自己犠牲の精神って、「お国のために」だから、恋愛には関係ないけど。 では、広辞苑から、 『利己的』 他人の迷惑を顧みず、自己の利益だけを追求するさま。「―な態度」 広辞苑第六版より引用 『利他』 自分を犠牲にして他人に利益を与えること。他人の幸福を願うこと 広辞苑第六版より引用 利他という言葉そのものもが使われてないから「利他的」という言葉が広辞苑に存在しない。 これを見て、「わたしは利他的よ」「俺は利他の精神で生きている」 と言えたら大したものです。 私の場合は、愛猫の話でも嘘ではなく、正直、愛する者のためなら自分なんかどうでもいいんだ。ここ、語気を強めるけど、実は嫌いな人のためには生きないよ。 だから、完全な利他ではない。 つまり利他の精神は宗教なんだ。結局。 宗教の言葉にしか使われないんだ。 裏を返せば、人間はほとんどの人が利己的に生きていて、恋愛で言うと略奪愛がそうだし、女性の時代になってからも、女子は男のお金で利益を得ようとするでしょ。なんか、うちの息子が彼女とデートをしたら、食事代とかのお金を出しているそうだからね。 中学生でも、男の子たちがお金を出すんだ。 それで、なんか不機嫌になってるから、お金を出したわりには成果がなかったんだと思うし、それでは完全な利他でもない。 男でも、彼女が出来ないと妥協して結婚する。「愛してる」とか言いながら、新妻を大事にしない男は慢心していて、「愛してる」とか言いながら、彼女と距離を置いているような会話に終始する男は、彼女の過去が怖くて、彼女のすべては愛していない。 彼女が過去に傷があるなら、それをじっくりと聞いてあげて、しかも死ぬまでね。 男の方は疲れちゃうけれど、それが利他だからさ。 別に自分が疲れるのはいっこうにかまわなくて、愛している彼女がストレス解消になればいいんだよ。 だから、「愛している」と言いながら、どこか「上辺だけだな」という態度の男は、利己的な精神で結婚したんだ。 ちょうど結婚したいと思っていた時に現れた女とか、かわいいからラッキーだと思ったとか。 ずっと彼女がいなかったから、ある程度のかわいい女だったら誰でもよかったとか。 俺、そんなの一回もないから。思わず「俺」って言っちゃったよ。 だからといって私も完全な利他ではなくて、里中塾という講演会のネタにもしたんだけど、川で溺れている人が汚いおっさんだったら、ロープを投げるだけだよって。 かわいいアイドルだったら川に飛び込むけれど。 じゃあ、あんた利他でもなんでもないじゃん。 と思っただろうけど、それは命がかかっているからであって、ちょっと他人の誰かを助けるために、時間を費やすとか、お金を使ってしまうとか、そんなことは日常茶飯事のようにやっている。陰徳とも言うよね。 だから、自爆テロの連中。あれが利他主義で、結局宗教の言葉なんだ。 でもそこは「主義」で、私が言っているのは「的」だから、それなりに利他でってこと。 今の日本はビジネスでは恐ろしいくらい、利己主義で、超合理化のビジネスなんかお客さんのことを猿か何かと勘違いしているくらいだ。 「メールしか受け付けない」 皆さんも経験があるよね。 企業側は時間と経費の削減でやりたい放題で、お客さんの我々は逆に困った時に時間を食ってしまっている。「その分、安いだろ」って? たぶん、結局割高になってくる。いろいろ時間を食っていたり、壊れたり困ったりして、買い替えたりしたらね。 そんな超利己的な精神が蔓延してしまって、何を生むかと言うと戦争(内乱を含む)で、民主主義がなんとか踏ん張っているに過ぎない。 民主主義は、国民の命を守らないといけないから戦争が迂闊にできないんだ。社会主義国家は国民の命は守らないから、やりたがる。北朝鮮、中国が代表格。アメリカがベトナム戦争に負けたのが、「これ以上。米兵士を死なせられない」に対して、ベトナムは「うちの兵士がいくら死んでも続ける」だったんだ。 恋愛で利己的な結婚をすると、あっという間に離婚になるか、今、流行の人妻浮気だよ。男は妻をさっさと抱くのをやめて、AV鑑賞か趣味に没頭。まだ結婚する前からセックスレスの方がなんだか奥が深いよね(笑) 大きな節目に離婚したとか、DVで離婚したとか、夫が仕事を変えたらついていけなくなったとか、そんな大事(おおごと)を除けば、始まりが利己的だったんだ。 最後にね。人は変わるって言うけれど、極端に生活環境が変わらないと、本質は変わらないんだ。 人間の全体の本質を言うと、動物よりもあきらかに残忍で、愛情も浅い。 逆に、動物よりも、多くの同胞を助ける智慧がある。 また、動物は別の動物には手を貸さない。猿がライオンを助けるなんてないけれど、人間は、他の生き物にも手を差し伸べる。 人の良いところはまさに、そんな智慧があるところで、でもそれが出来るようになったのは、19世紀の後半からで、進化の頂点に達したとも言える。教育制度でIQが上がって、「自分のためだけに生きるのはやめよう」と悟ったのが、実は、私達の世代。昭和四十年生まれから五十年生まれくらいの人たち。 映画で言うと、『レオン』公開時に三十代の結婚適齢期だった男女。 なんとか、このままの男と女でいてほしいものです。 http://satonaka.jp/novel/shougeki-no-kataomoi_0/ 今回の話がテーマのような小説です。スマホで見にくかった記号と英数字を直しました。 利他的に生きてきた男が、まさに環境の大きな変化でそれをやめたけれど、女たちの力で元に戻っていくのか第一部。三人の女たちが、それぞれ純愛、利己、愛憎と個性的な愛情を持っているから、参考にもなるよ。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ─────────────────────────────────── ■執筆者:里中李生 ■ウェブ:http://www.satonaka.jp/ ■配信確認・停止:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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