━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2017/12/27 警察・検察・裁判所が真っ暗闇である日本 第1929号 ウェブで読む:http://foomii.com/00050/2017122709053643227 EPUBダウンロード:http://foomii.com/00050-43788.epub ──────────────────────────────────── 特別国会で森友・加計問題が審議されるタイミングで日馬富士暴行傷害事件が発覚した。メディアが放送時間の大半を日馬富士暴行傷害事件に割いたことについて、主権者の多くがもりかけ疑惑を隠すためのスピン報道ではないかとの感覚を持った。確かに、その側面は否定できない。山もりかけそば疑惑で、安倍政権が退場させられるべきところ、安倍政権は2017年10月選挙で衆院3分の2議席を堅持し、政権の座に居座った。そして、選挙後の特別国会で森友・加計疑惑が追及されるタイミングで、日馬富士暴行傷害事件が表面化した。大手メディはこの素材に飛びついて、連日連夜、日馬富士暴行傷害事件を取り扱った。このことについて、「スピン報道」との批判が巻き起こっている。 このことは事実だが、一方で日馬富士暴行傷害事件そのものは、現代日本の警察・検察・裁判所制度とメディアの役割を考える上での極めて重要な事案であることも事実である。籠池泰典氏夫妻を補助金適正化法ではなく、刑法の詐欺罪を適用して逮捕、起訴して、5ヵ月にも及ぶ長期勾留を実行している。基本的人権が踏みにじられている日本の現実が鮮明に示されている。伊藤詩織さんに対する準強姦容疑で逮捕状が発付された山口敬之氏は警視庁刑事部長の中村格氏が逮捕中止を命令し、無罪放免に処せられている。美濃加茂市長の藤井浩人氏は事前収賄などの疑いで逮捕、起訴されたが、一審の名古屋地裁は無罪判決を言い渡した。ところが、高裁、最高裁が有罪と認定し、藤井氏の有罪が確定した。このことについて、藤井浩人氏は「冤罪があることを知った」と述べ、主任弁護人の郷原信郎氏は「日本の刑事司法は真っ暗闇だった」と述べている。この文脈のなかで日馬富士暴行傷害事件を考察しなければならない。この意味で日馬富士事件は決して些末な事件ではないのである。… … …(記事全文4,491文字)
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植草一秀(政治経済学者)