━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/10/06 赤字国債法成立なしの総選挙先送り企む財務省 第367号 ──────────────────────────────────── 2012年度の赤字国債発行法が現時点で成立していない。 2012年度予算は成立しているが、これは歳出予算である。 歳入について政府は、租税収入および税外収入で賄えない歳出予算の財源を国 債発行で調達する。 公共事業費のような投資的経費については、財政法4条が国債による資金調達 を認めている。 これを財政法4条国債、または「建設国債」と呼ぶ。 これは財政法第4条の但し書きによって認められている資金調達である。 財政法 第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなけれ ばならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の 議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。 ○2 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、 その償還の計画を国会に提出しなければならない。 ○3 第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議 決を経なければならない。 第三項が定める、国会が毎年度議決する公共事業費の範囲を「公債発行対象経 費」と呼ぶ。公債=国債による資金調達は、この「公債発行対象経費」の範囲 内で認められる。 ところが、財政法第4条国債を限度額いっぱいに発行しても財源が足りない場 合にどうするか。 このときに発行される国債が特例公債(国債)=赤字公債(国債)である。 財政法は投資的経費の財源を調達する場合以外に公債発行による財源調達を認 めていない。 この規定に反して政府が、「経常的経費」の財源を公債発行によって調達しな ければならなくなるとき、政府は新たに「特例法」を制定して、この「特例 法」を根拠に公債を発行して財源を調達する。… … …(記事全文6,250文字)
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植草一秀(政治経済学者)