━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/09/16 尖閣有事でも米軍が日本の為に出動することはない 第347号 ──────────────────────────────────── 中国での反日運動が拡大して影響が広がり始めている。 日本経済にもじわじわと影響が広がるだろう。 領土問題はナショナリズム感情をもっとも刺激しやすいテーマである。 それを知ったうえで、人為的に摩擦を引き起こしたのは日本側であると言わざ るを得ない。 日本が日本の国益を重視して行動することは当然である。 しかし、歴史的な経緯を背景に、国境問題で紛争が生じている場合、政府は極 めて慎重かつ賢明な対応を示す必要がある。 ところが、日本のなかに、意図的に近隣諸国との摩擦を生み出そうとし、行動 に移してきた人物が存在することを否定できない。 日本は1972年に中国と国交を正常化した。 その際、尖閣の領有権問題が障害になった。 日中政府は領有権問題を「棚上げ」する対応を示した。 日本政府としては、「領有権」問題で日本の主張が認められないなら国交を回 復しないとの選択肢もあった。 しかし、国交を回復し、日中の友好関係を構築することが日本の国益に適うと の大局的な判断から、言わば「小異を残して大同につく」決断をした。 「棚上げ」とは、領有権問題の決着を先送りすることだ。現状で尖閣は日本の 実効支配下にある。 この実効支配を中国は武力で排除しないことを約束したのである。 そもそも、尖閣の領有権問題が発生した原因を作ったのは米国であると見るの が妥当である。 1971年の沖縄返還協定において、米国が返還する領土には尖閣諸島が含ま れていた。米国の実効支配下に置かれていた尖閣諸島を含めて、日本への返還… … …(記事全文5,103文字)
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植草一秀(政治経済学者)