━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/09/12 中国政治中枢で激震が発生している可能性 第343号 ──────────────────────────────────── 三つのトップ交代が行われる。 米国では11月に大統領選挙がある。 バラク・オバマ現大統領と共和党のミット・ロムニー前マサチューセッツ州知 事による一騎打ちになる。 世界経済のグローバル化が進展するなかで、「格差拡大=社会の分裂」の先頭 を行くアメリカ。 かつての大統領選挙が、中間層の奪い合いであったのに対して、今回の選挙は 様相を異にする。 ひとことで表現すれば、「99%運動VS茶会」の大統領選である。 99%運動とは、社会の1%の富裕層が、米国の富の半分以上を支配している 現実に対して、格差是正を訴える大衆の運動である。「反ウォールストリート 運動」と呼んでもよい。 新自由主義の政策を突き進めれば、結果における格差は際限なく拡大する。 とりわけ、中国などの新興経済大国が台頭し、グローバルに価格破壊=大競争 が展開されることに伴い、先進国では、労働コストの断層的な切り下げが広が ってきた。 ITの進化は事務労働を担ってきた中間層の存在を不必要にしている。 中間所得層であったホワイトカラー労働者が激減し、ごく少数の資本家層=富 裕層と圧倒的大多数の低所得労働者層とに、米国民が分裂する傾向が一段と強 まっている。 「99%運動」は社会の下層に追いやられた大多数の一般大衆が、「分配の公 正」を求めて生じた社会運動である。 これに対して、米国では独立以来、自由主義的な思想、小さな政府を求める思 潮が極めて根強い。 1773年マサチューセッツのボストンで、イギリス本国議会の植民地政策に 憤慨した植民地人の急進派が、アメリカ・インディアンに扮装して、港に停泊 中のイギリス船に侵入し、イギリス東インド会社の船荷の紅茶箱をボストン湾… … …(記事全文5,528文字)
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植草一秀(政治経済学者)