━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/10/12 TPPは現代版マンハッタン計画のトロイアの木馬 第12号 ──────────────────────────────────── 日本の経済界を代表する人物が米倉弘昌氏だとするなら、日本の経済界の人 材の薄さはかなり深刻と言わざるを得ない。米倉氏が何を発言しようとも米倉 氏の自由だから構わないが、いささか常識、見識、知識を欠いていると見られ る人物の発言を大きく伝えることをメディアは控えるべきだ。 また、消費者団体などが国民の声を正しく公表するべきだ。 米倉氏は強欲資本主義が衣服をまとっているだけに過ぎないように見える。 TPPは日本の破壊をもたらすもので、百害あって一利なしだが、米倉弘昌 氏が頓珍漢なコメントを出し続けている。 ANNは次のような報道を行った。 「経団連の米倉会長は、TPP=環太平洋経済協定への交渉参加をめぐる鹿野 農林水産大臣の慎重姿勢について、「農業をつかさどる大臣が弱腰では困る」 と厳しく批判しました。 経団連・米倉弘昌会長:「一日も早く交渉に参加するということが必要であ ろうと思います。そもそも農業をつかさどる大臣がそういう弱腰では困る」 米倉会長は、鹿野大臣が「(TPPへの結論に)期限を表明するのは、プラ スに向かうことだけではない」などと発言したことについて、「一日も早く交 渉に立つことが必要だ」と反論しました。また、民主党内の反対論についても 「選挙等々を考えずに、国益を考えて農業をいかに強くするかだ」と訴えまし た。そのうえで、米倉会長は「農業は経済連携あるなしにかかわらず強化し、 需給率を上げることが必要だ」と述べ、国際競争力の向上や担い手育成など抜 本改革に取り組むよう求めました。」 日本の関税率は、全品目、農産物のいずれにおいても、主要国と比べて高す ぎるということはなく、日本市場は十分に開かれている。 日本が諸外国から非開放的である、反自由貿易主義だと批判を受けるいわれ はまったくない。 TPPは元々2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージー ランドの4カ国加盟で発効した経済連携協定である。その後、アメリカ、オー ストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシアが参加を表明し、昨年11月のA PEC横浜総会で、… … …(記事全文4,305文字)
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植草一秀(政治経済学者)