━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/10/06 NHKの伝えない日本株価が下落し続ける本当の理由 第6号 ──────────────────────────────────── 株価の下落傾向に歯止めがかからない。日経平均株価は10月5日、838 2円で引けた。取引時間中には8343円まで下落し、取引時間中の株価とし ては、本年3月15日の8227円以来の安値を記録した。 この株価下落について、NHK7時のニュースは、 「5日の東京株式市場は、大手格付け会社がイタリア国債を格下げするなど、 ヨーロッパの信用不安による世界経済の減速懸念が改めて強まったとして、売 り注文が増え、日経平均株価の終値はことしの最安値に迫る水準まで値下がり しました。」 と報道した。 いつものことではあるが、株価下落の理由をNHKがどうして断定できるの か。私は30年来、金融市場の変動を分析してきているが、日々の株価変動に ついて、いくつかの株価変動理由を考察することはできるが、断定することは できない。 NHKニュースのなかにある、 「ヨーロッパの信用不安による世界経済の減速懸念が改めて強まったとして、 売り注文が増え」 などということは、今日の株式市場で実際に売り注文を出した人にインタビ ューをして、売り注文を出した理由について真実を語ってもらい、なおかつ、 これを市場に出された全売り注文について実施しなければ確認できるはずのな いことである。そのような作業をしているわけがない。 市場関係者による説明をそのまま用いているのかも知れないが、その説明が 妥当であるのかどうか、判定のしようもない。 少なくとも、 「市場関係者の話では・・・・・」 とするか、 「・・・・・などの理由により、株価が下落したものと見られています」 などの表現を用いるべきだ。 NHKが説明する株価変動の理由が完全に間違っている可能性も大いにある。 仮にNHKの理由付けが間違いであるなら、人々に誤った認識を持たせること になるし、逆に、NHKが人々のマインドをコントロールするために、間違い であることを自覚しながら故意にこのような言い回しをしているとするなら、… … …(記事全文5,180文字)
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植草一秀(政治経済学者)