━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 渡邉哲也の今世界で何が起きているのか 2015/11/18 第1049回 分裂する世界 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★パリのテロ事件 欧州危機から立ち直れず、経済の混乱が続く中で難民に加えテロリスクが大きくクローズアップされている。EU成立とユーロの採用など一体化を進めてきた欧州であるが、経済問題だけでなく国家間の対立や国内問題により一体化が困難な状況になりつつある。欧州連合を形作る根幹となる協定がシェンゲン協定であり、欧州内でのヒト・モノ・カネの移動を保証したものであるが、この協定も難民問題とテロ対策により崩壊しつつあると言って良いのだろう。 フランスは今回のテロを受けて、国境封鎖を行った。これは必要な処置なのであろうが、ヒト・モノ・カネの移動の自由が制限されたことには違いなく、テロなどが発生するたびにこのような処置がとられることになるものと思われる。 また、域内での独立運動の激化も、欧州分裂に向けての大きな動きとなるのだろう。カタルニアだけでなく、バスクを始め、様々な地域で独立運動が高まっている。また、既存の枠組みにおいても英国のように欧州からの独立を求める声は強まっていることは間違いなく、移民排斥を求める政党が躍進しているのも事実である。このような現象が発生している根幹は、欧州内でのプアーホワイトの増加なのだろう。… … …(記事全文2,695文字)
渡邉哲也の今世界で何が起きているのか
渡邉哲也(作家・経済評論家)