━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 渡邉哲也の今世界で何が起きているのか 2015/07/17 第969回 ギリシャ第三次支援 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ギリシャ問題 改革案が法制化され、第三次支援に向けて動き出しました。これに伴い銀行の資本規制も解消される予定ですが、これが新たな銀行危機に繋がる可能性も高く、対応が気になるところです。ギリシャの銀行は資本規制により国民からの信頼を失ったと思われます。低金利下で銀行に預金をするメリットが少なく、ヒト・モノ・カネの移動の自由を定めたシェンゲン協定もあるため、あえてリスクばかりが高いギリシャ国内銀行に預金をする意味が無いのです。 現在、資本規制によりギリシャの銀行の預金流出が抑えられているわけであり、これを解除した場合、一気に預金の解約や引き出しが可能性が高いわけです。この場合、ECBの対応次第ではありますが、銀行の破綻に直結する可能性もあるわけです。 ギリシャの今回の政権交代ですが、結果的には政権交代前よりも悪い状況に追い込まれたのは間違いなく、社会金融システムの崩壊を促進してしまったことは間違いのない事実なのだと思います。確かにECBなどが求めてきたギリシャの改革案実施は、ギリシャ経済にとって非常に厳しいものでありました。そして、この緊縮案がギリシャ経済の債権を難しい物にしていたのも事実です。しかし、その改善を求めるにしても、シリザのとり続けた方策は悪手であったと言って良いのだと思います。 第三次支援の内容次第の部分もありますが、結果的には国内の社会金融システムの崩壊とモラルハザードの悪化が強まっただけであり、ギリシャ人の生活が更に厳しくなる可能性が高いと言えると思います。 ■ユーログループ、ギリシャとの支援交渉開始を原則合意… … …(記事全文2,089文字)
渡邉哲也の今世界で何が起きているのか
渡邉哲也(作家・経済評論家)