━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 渡邉哲也の今世界で何が起きているのか 2015/06/19 第949回 デッドライン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ギリシャ問題 大方の予想通り18日の会合では合意に至らなかった。そのため22日に緊急の会談が行わえることになった。これが事実上のデッドラインになる可能性もある。また、途中ドイツ紙がIMF抜きでの支援延長という報道を行ったが、ECB外交筋がこれを即座に否定した。今回のギリシャ問題では、様々な飛ばし報道が行われ、それが市場を混乱させている。この情報源だが、ほとんどがギリシャの政府筋であるといわれている。まぁ国民性なのだろうが、ポジティブな情報だけを誇張して語っている可能性が高い。 今回の問題においては、常にギリシャはIMF抜きでの協議を求めてきた。これはIMFが債務削減に否定的であり、年金や賃金カットなどを強く求めていることに起因すると言われている。また、IMFはEUと直接的な関係はないため、欧州連合内の政治的駆け引きには応じないのもその理由である。本来IMFは、『通貨危機』に陥った国の再建のための組織であり、内部融資のための機関ではない。外貨で借りたものは外貨で返さなくてはいけない。そして、国は通貨を刷れるが、外貨をすることはできない。このため、国が危機的状況に陥った場合、通貨が下落し、外貨不足が生じる。この外貨(主にドル)を貸し出す機関なのである。 今回のギリシャ問題において、本来欧州内(ユーロ圏)で行うべきものに、IMFが参加しているのは、欧州圏内だけではギリシャの政治的駆け引きなどによって、債務がうやむやにされることを恐れた欧州からの要請によるものであったわけだ。その意味では欧州の危機管理は正しかったといえる。 ただし、IMFが行う財政再建に関して、資産売却や支出カットが中心であり、それが国家の経済母体を弱体化させ,危機からの回復を遅らせているという指摘が強いのも事実である。だからこそ、ギリシャは交渉からIMFを外すことを要求しているわけである。 ■ユーロ圏首脳、22日に会談 ギリシャ協議めぐり=EU当局者… … …(記事全文2,341文字)
渡邉哲也の今世界で何が起きているのか
渡邉哲也(作家・経済評論家)