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渡邉哲也の今世界で何が起きているのか

渡邉哲也(作家・経済評論家)

渡邉哲也

号外! S&Pユーロ加盟17カ国の格付けを引き下げ方向で見直し

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     渡邉哲也の今世界で何が起きているのか     2011/12/06 号外! S&Pユーロ加盟17カ国の格付けを引き下げ方向で見直し ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ S&Pがユーロ加盟17カ国の格付けを格下げ方向で見直すと発表しました。過去の寄稿記事 より、関連する解説コラムと動画をお送りします。 ■三橋貴明氏との対談本で大恐慌情報の虚(ウソ)と実(マコト)という対談本が発売さ れます。http://tinyurl.com/6mb2lq8 一年ぶりの新刊です。是非ご購入を 12月3日夕方 先行発売店舗決定! 丸善オアゾ ジュンク堂池袋本店 紀伊国屋新宿本店3F 紀伊国屋渋谷店 ■チャンネル桜 経済討論 http://www.nicovideo.jp/watch/1322880328 (ニコニコ) http://www.youtube.com/watch?v=ZvKdsfKPduA&feature=channel_video_title ■【渡邉哲也】ユーロ崩壊が始まった!?世界経済と円高の行方[桜H23/10/31] http://www.youtube.com/watch?v=F42dGDytZpY MPJ 第5回原稿 (2010年3月掲載分) 格付の嘘 ■二つの格付け 債権の評価基準となる格付けであるが、実は格付けには公式の格付けと裏格付けといわ れるものが存在する。「裏格付け」正式にはマーケット・インプライド・レーティングと いわれるもので、債権の価格やCDSなどの指数から導く市場評価に合わせた格付けである。 実は、現在、この二つの格付けの間に大きな乖離が生まれており、それが大きな問題とな りつつある。 それでは、なぜ、そのようなことが起きるのだろう。実は格付会社はそれぞれ非公開の 独自の格付け基準で評価しており、その中には将来リスクや政治要因も含まれているので ある。この将来的、政治的リスクというのが難物であり、客観評価などできない類のもの となる。 ■2つの利益相反 現在、世界のスタンダードとされている格付会社は、米系のムーディーズ、スタンダー ド・アンド・プアーズ、欧州系のフィッチとなる。実は、この3つの格付会社は単なる営 利を目的とした民間企業なのである。そして、その収益は格付をする会社から得て居るの だ。ここに大きな利益相反関係が存在し、大きな問題となっている。 また、それぞれの会社のオーナーに、投資家やファンドなどが含まれていることも大き な問題なのである。例えば、ムーディーズの筆頭株主は、世界有数の投資家であるウォー レン・バフェットなのである。つまり、投資家が支配する利益目的の民間企業が、市場の 債権価格を誘導出来る構造なのだ。 ■格付けと債権価格 かつて、日本の国債が異常に低く評価され、それが大きな問題となった時があった。し かし、日本の投資家は、それでも日本の国債を買い続け、国債価格の暴落は発生しなかっ た。あまり、陰謀論に走るのは良くないが、国債価格の暴落にかけた投資銀行が存在し、 予想外の反応に大きな損失を出したのは、知る人ぞ知る事実となる。 なぜ格下げが、債券価格暴落の大きな要因となるのか、実は格付けが引き下げられるこ とで、年金身金やソブリンファンドなどは債権をもちづづけられない構造になっているの だ。 各基金や各ファンドにより規定は違うが、ファンドの安全性を保つため、契約時に一定 以上の格付けの格付けを持つ債権しか保有できない仕組みとなっており、格下げされた場 合、保有する債権を一定期間内に投げ売らないといけないことになっているからである。 ■PIIGS問題と格付け 実は、ギリシャの格下げにより、ソブリンファンドの投げ売りが発生し、それがPIIGS危 機をさらに悪化させている。債権が投げ売られることで、既発債権の暴落が発生、新規債 の発行金利を上昇させ、資金調達のコストを上昇させるとともに資金調達を困難なものと しているのである。 そこで、ドイツなどの金融当局は、ソブリン債の民間による格付の廃止を提案しようと までしているのだ。民間に格付けさせなければ、債権の投げ売りが発生しようがないから である。 しかし、これは誤魔化し意外の何者でもない。 ■報じられない事実 ここまで、格付の問題点を述べてきたが、最大の問題はこの問題が国内で正しく報じら れることがないことである。私から見れば、経済紙などで一部取り上げられることがあっ ても、難しい表現をわざと使い、わからないように報じているようにしか見えないのであ る。 日本人は法律や決まりを守り、その中で最大限の努力をする。欧米人は自分たちの都合 に合わせた法律や決まりを勝手に作る。格付け問題こそ、その典型と言えるものである。 渡邉哲也 神かインチキ手品師か (2010年6月 MP-J寄稿原稿)  世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェット、彼は米保険・投資会社バークシ ャー・ハサウェイ率いる経営者であると同時に、大手格付機関ムーディーズの長年の筆頭 株主であり、投資銀行ゴールドマンサックスの大株主であり擁護者である。  これまで、投資の世界では神のように扱われてきた世界一の投資家ウォーレン・バフ ェット、しかし、彼の存在こそが、複数の利益相反行為の象徴であるのだ。そして、世界 的な金融の混乱は彼を神の地位から引きずり下ろすかもしれない。 ■バフェット氏は議会証言を当初拒否、召喚状受けて応諾-経済誌 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aOFnezPneWfg 『米経済誌フォーチュンが報じたところによると、米金融危機調査委員会(FCIC)が 来月2日に開く公聴会で証言する予定の著名投資家ウォーレン・バフェット氏は当初、公 聴会への招へいを拒否、召喚状を受けて出席要請に応じたいう。   今回の公聴会は信用格付けに焦点を絞ったもので、格付け会社ムーディーズのレイモ ンド・マクダニエル最高経営責任者(CEO)も出席する。バフェット氏率いる米保険・ 投資会社バークシャー・ハサウェイはムーディーズの最大株主。』 流石バフェット、2日の議会公聴会では、自分は単なる株主であり、不適切な格付けは見 たこともない債権バブルのせいであったと他人のせいにして逃げ切ったが、まだまだ、審 議が終わったわけではない。  以前のコラム格付の嘘 http://www.twitlonger.com/show/c7ibr6 でも述べたが、 投資側であるファンドのオーナーが、企業の信用を評価する格付機関を 保有しており、影響力を誇示している。この構図は、不公正な取引を可能にする関係にあ る。やろうと思えば、圧力をかけて都合の良い格付けを引き出すことも可能であるし、格 付けを利用して負けない売買することも可能なのだ。また、直接的に圧力をかけなくとも、 資本支配される格付機関側には大きなプレッシャーとなることは間違いないところである。 特にバフェットは投資業界では神のように扱われてい る。逆らうことなどなかなか出来るものではない。  実は、バフェット、サブプライムに関する格付けの不正が指摘され始めた昨年以降、 ムーディーズの株式の売却を進めている。格付け問題が表面化し、深刻化すれば格付機関 の株価が下落するのは必須であり、当然の成り行きである。問題が大きくなる前から徐々 に売っていたのだった。投資家としては当然の行為であるが、その対象が格付機関である となるとなんだがすっきりしないものが残るのである。  これまで、バフェットは自己正当化の一環として 『自己の投資活動において、格付 けを参考にしたことはない』と述べてきた。これもよく考えると、とてもおかしな話であ り、『そもそも格付会社を信用出来ないのならば、なぜ株主であり続けたか』という大き な矛盾に突き当たるのだ。 さてさて、彼は死ぬまで神でい続けられるのだろうか?すでに種はバレている。 渡邉哲也 ────────────────────────────────────────            著者:渡邉哲也(作家・経済評論家)         ホームページ:http://www.watanabetetsuya.info/          Twitter:http://twitter.com/daitojimari    メールアドレス:info@watanabetetsuya.info ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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