□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2017年11月15日(水)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。IEAとOPECの両月報を解説します。今月は両月報がかなり対照的な報告内容になっていますが、それぞれのロジックを確認してみます。 =================================== 原油高に疑問を投げ掛けるIEA、需給ひっ迫を警戒するOPEC =================================== <原油価格を楽観視できないIEA> 原油価格の「ニュー・ノーマル(new normal=新たなる正常)」はどこにあるのだろうか。NYMEX原油先物相場が急落したのは2014年7月以降だが、そこから17年10月までの平均価格を月足終値ベースでみてみると1バレル=52.88ドルとなっている。一方、11年3月から14年6月まで同じ長さの期間では97.11ドルとなっており、シェール革命によるいわゆるタイトオイルの市場の流入加速、それに伴い石油輸出国機構(OPEC)など伝統的産油国の需給・価格管理機能が失われたことで、原油価格の「ニュー・ノーマル」は45.5%切り下がったというのが現在の原油相場のざっくりとした価格環境である。 弱気派は新しい原油(=シェールオイルやオイルサンド、深海油田)が市場に流入した以上、ニュー・ノーマルはこのまま30ドル台や40ドル台といった値位置に形成されるとみる。実際にこうした悲観的な見方が、6月に原油相場を一時42.05ドルまで押し下げており、その当時には原油価格は30ドルのみならず20ドルまで下落するといった見方も一定の支持を得ていた。一方、強気派はシェールオイルの増産圧力のピーク、更には主要産油国による協調減産で供給過剰状態、更には過剰在庫状態の解消と連動して、かつての100ドル前後に回帰するかは別としても、緩やかな原油高(=原油価格回復)の世界を見ている。実際に7月以降は需給リバランスの進展期待でファンドが一斉に強気スタンスに傾き、直近高値は57.92ドルに達している。まだ2014年の急落前と比較すると安値圏であることに変わりはないが、ブレント原油の高値だと64.65ドルに達しており、70ドルといった価格水準も現実的なターゲットとして意識された。… … …(記事全文4,192文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)