□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2017年09月04日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。天然ゴムの短観です。9月入りして膠着相場から抜け出していますが、その背景や今後のポイントを解説します。また、大豆油業界の新たな挑戦が天然ゴムの長期的な需給見通しに影響を及ぼす可能性があります。短期の相場変動要因にはなりませんが、ここで発生している動きは他コモディティ市場にも共通するため、解説します。 =================================== 中国の溶鉱炉で火災が発生すれば天然ゴム価格も上がる? / 大豆油の挑戦 =================================== <溶鉱炉の火災でゴム相場も急伸?> 天然ゴム相場が上昇している。上海期貨交易所の天然ゴム先物相場は、1トン=1万6,000元台での膠着状態が続いていたが、9月4日の取引で突然に1万7,000元台に乗せる急伸地合を形成し、中心限月ベースでは3月22日以来の高値を更新している。東京ゴム相場もこうした上海ゴム相場の急伸に連動する形で地合を引き締め、1㎏=210円台後半をコアとした保ち合い相場から、一気に220円台後半まで値位置を切り上げている。これは5月24日以来の高値更新となり、チャート上では上海・東京ゴム相場がともに高値更新サイクルを再開した形になっている。 直接的なきっかけとなったのは、上海鉄鋼相場の急伸である。中国の本钢板材股份有限公司(Bengang Steel Plates)が遼寧州に設置した新たな溶鉱炉で火災が発生し、鉄鋼の供給不安が鉄鋼先物相場の急騰を促し、その流れの中で鉄鉱石、石炭、銅相場などの幅広い産業用素材に買いが広がり、上海ゴム相場も急伸地合を形成している。冷静に考えれば、上海ゴム相場に全く関係のない動きだが、ここ最近は中国の素材市況全体が膠着感を強めていたこともあり、「溶鉱炉火災→鉄鋼相場の急伸→天然ゴム相場の急伸」のロジックが採用されている。… … …(記事全文4,358文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)